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『共犯』
2016年1月8日DVDリリース&
レンタル開始
2015年12月19日部活実施
TSトーキョー社内にて
鑑賞会&座談会
公式サイト 作品詳細
映画批評&デート向き映画判定
今回は、現代の若者達の孤独や心の痛みを描いた台湾映画『共犯』を鑑賞。普段なら学校ではツルまない全く異なるタイプの3人の少年が、偶然ある現場に居合わせたことをきっかけに親交を深めていくのですが、彼らのちょっと異色な絆には、観ているとかなり心揺さぶられるものがあります。そんな本作を観て、皆さんはどんなことを感じたのでしょうか?
※一部、ネタバレする箇所があります。
マイソン:まずは観た感想をお願いします。
Aさん:最初はもっと複雑に絡んでいく内容かと思っていましたが、イメージしていた展開とは全く違ったのでびっくりしました。単なるサスペンスではないところがすごくおもしろくて、最後まで飽きることなく観られました。
Bさん:観る前は3人の男の子が何か一つの事件を起こす“共犯”の物語だと思っていたので、「共犯って、こういうことだったんだ!」と良い意味で裏切られました。3人のなかでは、葉(イエ)くんが一番良い子だったと思います(笑)。
Cさん:想像以上に見応えのある作品で、大変感激しました。最初は黄(ホアン)くんに何かありそうだと予想していましたが、まさかの衝撃の展開で一気に先が読めなくなり、「これからどうなるの!?」と思いました。そういう予想外の展開が嬉しかったです。
Dさん:この作品は、“いじめ”もテーマの一つになっていて、昔大学の先生が「中学生は戦っているんだよ」と言っていたことを思い出しました。この作品の場合は高校生が主人公でしたが、今の中高生はこの3人みたいにいろいろなことを思い詰めたり、考えたりしているのかなって思いました。
マイソン:子どもにしかない絆があるからこそ、難しくてすごく考えさせられましたよね。
Dさん:大人なら容赦なくズバっと言えることでも、子どもって妙に誰かを守ろうとするので、3人を観ているとすごく苦しい気持ちになりました。
マイソン:3人の少年の気持ちで理解できる部分や、本作の“共犯”に近い体験を今までにしたことはありますか?
Eさん:私は実体験ではありませんが、この作品を観ていて『ソロモンの偽証』を思い出しました。やはり高校生くらいまでって思い悩んでしまうこともあって、なかには自殺まで考えてしまう子もいますが、大人になってみないとわからないことってたくさんあるんですよね。そういう感覚が不毛だなと思い、切なくなりました。私は小学生の同級生と今も仲が良くて、飲み会に参加して当時の話をすると、いじめていた本人はいじめているという意識が全くなかったことがわかるんです。でもいじめられていた側からするとその記憶が未だに残っていて、飲み会に参加するとその話題が挙がるからという理由で来ない人もいます。
Bさん:私は子どもがいるので、自分の子がいじめられる立場でも、いじめる立場でも嫌だなと思います。以前、子どもといじめについて話したときに、子どもが「いじめられる方も悪いんだよ」と言っていたんです。そのときは「なんてことを!」と思いましたが、子どもは「自分だっていじめないように、いじめられないように中立の立場をキープするのが大変なんだ」と話していて、子どもは子どもで苦労しているんだなと思いました。いじめだけでなく、今は虐待などの問題もありますが、やっている本人は頭では悪いことだとわかっているのに、自分のやっていることとは結び付かないんですよね。
Cさん:私は黄(ホアン)くんの心理がよくわかりました。小学校のときに身体的ないじめをしてくる友達がいましたが、私は当時その子のことを友達だと思っていたので、母に「またそんなに傷めつけられて。お母さんが注意してあげる」と言われても「私の友達なんだから、やめてよ」と、その子をかばいました。なぜなら彼女自身は、私をいじめているつもりはなく、ただ楽しいからやっていただけで、私には彼女以外に友達がいなかったのでそれでも良いと思っていました。その後進学して、ちゃんと友達ができて楽しく過ごした時期もありましたが、クラス替えでまたクラスに馴染めなかったときもあったので、黄(ホアン)くんの孤独な気持ちにはすごく共感できました。
マイソン:黄(ホアン)くんが亡くなった夏(シャー)さんのことを代弁していましたが、自分も同じような孤独を感じていたからこそ、あれだけ的確な推理をしていたのかなって思います。
Aさん:ある新聞で「今の中高生はSNSがあるから、学校で一緒にいる友達は、本当の友達じゃない」という記事を読み、この映画の3人とすごくリンクしました。林(リン)くんは、黄(ホアン)くんと葉(イエ)くん以外にも友達はいるようでしたが、「疲れちゃうんだよね」と話していていたので、まさにその新聞記事に書いてあったことと同じで、今の子達ってそういう孤独を抱えている子が多いのかなと思いました。
マイソン:インターネット上で友達を作る子もいますが、そっちの方が本当の友達なのかはわかりませんよね。
Eさん:たぶん大人が、社会や仲の良い友達の前で建て前があるのと同じように、子ども達も学校では建て前があるんでしょうね。私自身、インターネットが普及したときに何て楽なんだろうと思いました。どんなに仲の良い友達でも「ここまでは話せるけど、これ以上は話せない」というのがありますが、インターネット上だと、建て前なしに気軽に話せるのが良いと思います。もちろん自分を匿名化して好きなことを言うのは間違いですが、インターネットの世界に走る子ども達の気持ちはよくわかります。
Bさん:私はSNSがあまり好きではありません。書く内容にも気を遣うし、LINEで“既読”にしたら返事しなくちゃって思うし、そういうところに気を揉んでしまうので嫌なんですよね。
Eさん:“既読”にして返事がなくてケンカになるという話も聞きますが、可笑しいですよね。読んだら読みっぱなしでも良いのにって思います。
マイソン:SNSがあることによって大人でも大変なのに、子ども達だとさらに複雑そうですよね。
マイソン:では本作のような“共犯”になるとき、皆さんは自分を守るために共犯になりますか?それとも誰かを守るために共犯になりますか?
シャミ:大人なのか子どもなのかでも違うと思いますが、自分が中高生だった頃を思い返すと、周りの顔色を伺っていたような気がします。そのときは、皆が不幸じゃなければ良いと思っていたつもりですが、今考えると人の反応を見ている時点で、結果的には自分を守るために動いていたんだなと思います。
Eさん:今回の 3人のような共犯だった場合は、私も自分のためを思って動くと思います。葉(イエ)くんの立場だったら友達をかばうと思いますし、林(リン)くんの立場で鬱々と悩むくらいなら、早く言ってしまった方が楽ですよね。
Bさん:3人と同じくらいの年齢だったら、周りに合わせて「この人がこう言ったし、自分もそうしておこう」と思って行動していたと思います。林(リン)くんは勉強ばかりしていて、彼の頭の良さで寄ってくる友達ばかりだったから、やはり学生という狭い世界で生きているからこそ、いろいろ思い詰めてしまうのかなと思いました。
マイソン:では、この作品をどんな方にオススメしたいですか?
Aさん:どなたにもオススメですが、3人と同じ世代の子達と一緒に観て「最近はどうなの?」って聞いてみたいです。全く想像が付きませんが、彼らと同世代だとどんな風に感じるのかが気になります。
Bさん:子どもがいる親世代なら、子どもの世界をリアルに感じられ、良い勉強になると思います。
Eさん:私は主人公達と同世代に観てもらいたいです。夏(シャー)さんの死によって、皆が巻き込まれていきましたが、思い悩んで自分を追い詰め過ぎることは不毛だということをわかってもらえればと思います。
シャミ:先生達に子どもの気持ちを知るという意味で観て欲しいです。なかには大人同士でも、変わり者だと決めつけられて孤独を感じている人もいると思うので、大人が観て周囲との付き合い方を見直すのも良いと思います。それから、この映画は映像がとても綺麗なので、誰が観てもこの物語の世界観に浸れると思います。
上記以外に、子ども達の携帯電話の話題が挙がる場面もあり、皆さん真剣に現代の子ども事情について語っていました。私達が子どもの頃にも、友達関係など苦い思い出がありますが、インターネットの普及により今の子ども達の関係性はさらに複雑になっていて本当に大変ですよね(泣)。ほかにも、葉(イエ)役のチェン・カイユアンがイケメン!という女子らしい話題でも盛り上がっていました(笑)。
皆さんもぜひ『共犯』をご覧頂き、子ども達の複雑な心境を目の当たりにし、現代の子ども社会について考えてみてください。
2016年1月8日DVDリリース
監督:チャン・ロンジー
出演:ウー・チエンホー/チェン・カイユアン/トン・ユィカイ/ヤオ・アイニン
マクザム
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
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2015.12.19 event