2017年3月25日より全国順次公開/R-15+
アルバトロス・フィルム、セテラ・インターナショナル
公式サイト
スキー事故で大けがを負った女性が、リハビリを続けるなかで波乱に満ちた過去の恋愛を振り返る、官能的でドラマティックな愛の物語です。タイトルの“モン・ロワ(mon roi)”とは、フランス語で“私の王様”という意味だそうですが、恋に落ちて盲目的になってしまう女性の心情を見事に言い得ていると思います。主人公のトニーはかつて密かに憧れていたジョルジオとクラブで再会し、激しい恋に落ちます。そして、予想もしなかったスピードで2人はゴールイン。しかし、彼を知るほどに見えてくるのは、自分勝手で浮気症で幼児性のある傲慢な性格…。めくるめく恋の季節はあっという間に終わり、トニーにとってジョルジオとの結婚生活は、日々傷つき、自尊心を踏みにじられることの繰り返しですが、彼女はそんな蟻地獄から抜け出すことができません。愛し合うとはどういうことか?愛と執着の違いは何なのか?不毛な愛にがんじがらめになっていく人間の心理を見事に捉えながら、愛することの本質を考えずにはいられない本作。恋に落ちたことのある人ならば、この複雑な感情に必ず共感を覚えるはずです。第68回カンヌ国際映画祭で女優賞に輝いたトニー役のエマニュエル・ベルコの見事な感情表現、魅力的なエゴイストを演じたヴァンサン・カッセルの演技も素晴らしく、一見の価値があります。すべての大人の女性のオススメしたい、普遍的な愛の物語です。 |
不毛な愛で自分自身を見失ったヒロインをヒロイン自身が俯瞰することで、男女のすれ違いを鋭く描く本作。カップルのどちらかが、相手の愛にあぐらをかいてやりたい放題…なんていう関係性の男女がデートで観れば、一悶着あるのは間違いなさそうです。ただし、女性同士で観に行けば、観賞後は恋愛トークで大いに盛り上がることも間違いなし!
主人公のトニーは、大けがを経験したことで、恋愛以外の大きな問題に心が方向転換し、自身の人生や過去の恋愛を客観視できるようになります。皮肉なきっかけではありますが、過去を温かく穏やかな気持ちで迎え入れることができた彼女は、ここから新たな人生を力強く歩んでいくに違いありません。今、生産性のない恋愛に悩んでいる人は、自身の恋愛を冷静に見つめる良い機会になると思いますので、一人でじっくり鑑賞することをオススメします。 |
R-15指定の作品ですので、15歳未満の人は観られません。高校生くらいでも、まだまだ大人の恋愛の機微は理解し難いと思いますが、女子の皆さんは、ジョルジオのような“魅力的なダメ男”にハマらないよう、この映画でお勉強しておくのも良いと思います。フランクな親子関係ならば、母娘で観るのもおもしろいと思いますが、官能的なシーンも多々ありますので、気まずい思いをしたくない人はお友達同士で観に行きましょう。 |
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2017.3.15 TEXT by min