映画業界人インタビューVol.3 リージェンツ 映画買付 小田寛子さん【後編】

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映画業界人インタビューVol.3 リージェンツ 映画買付 小田寛子さん【後編】

映画業界は狭いと言われるからこそ、知り合いを作っておくのが大事

TAKE:この業界に入ろうと思ったきっかけ、どういう経緯で今のお仕事に就いたか教えてください。

小田さん:子どもの頃から父が映画を観るのが好きで、洋画をたくさん観ていました。高校で、先生に進路について聞かれて思い悩んでいる時に、ふと、「映画を作っている人がいるということは、映画って仕事になるんだな」と認識しました。その後、日本の大学で1年間過ごし、カナダの映画制作の学校に留学しました。

TAKE : カナダでは、実際にどのような勉強をされていたのですか?

小田さん:大学の映画科に入り、助監督の実践的なクラスや編集のクラス、プロデューサーのクラスなどを取り、映画制作について3年間勉強をしました。

局長:交換留学ですか?

小田さん:いえ、日本の大学に1年間通った後、ワーキングホリデーで1年間海外経験を積み、そのまま映画学校の夜間コースを取って、その後さらに現地の大学を受け直しました。

局長・TAKE:すごいっ!!

局長:最初は作るほうに興味があったんですね。その後、どう心境が変化したんですか?

映画業界の方にインタビュー:リージェンツ 映画買付・小田寛子さん小田さん:日本に戻ってきてから、制作会社に就職しようと思ったのですが、英語を活かしたいとなると洋画を扱っているところでないと難しいと感じて、配給会社で洋画を扱っているところに自分でアタックしました。そして、プレシディオという配給会社に入社しました。

局長:プレシディオさんに所属した時には、最初から買い付け担当だったんですか?

小田さん:最初はアルバイトでした。海外の映画を買ってきて、二次使用の権利等を営業している部署と、データ分析をしている方のお手伝いをしていました。買い付けを本格的にやるようになったのはもう少し後です。それまでは、資料を作ったり、海外向けの印税報告を作ったり、作品の情報を調べたりしていました。とにかく、バイヤーの方の業務をずっとサポートしていましたね。

局長:もともと制作志望だったのが、バイヤーになられたことに関してはどのように感じていますか?

小田さん:そもそも、日本に戻ってくるまでバイヤーという仕事自体を意識したことがありませんでした。最初はこういう仕事もあるんだと新しい発見でしたし、日々の業務についていくのに必死でした。今の会社(リージェンツ=株式会社ムサシノ広告社のレーベル)では宣伝の段階でどんなおもしろいことができるかという視点で買い付けを行っているので楽しいです。

TAKE:今までで一番楽しかった仕事や、ご自身の仕事のやりがいは何ですか?

小田さん:映画業界に勤めていらっしゃる方は全員おっしゃると思うんですけど、自分が担当した作品がヒットした時が一番嬉しいです。映画は観てもらってなんぼなので。あとは時々家族が、私が関わった映画を観てくれて、おもしろかったと言ってもらえると嬉しい気持ちになります。

TAKE:学生の頃にやっていて今仕事で役に立っている事はありますか?学生のうちにやっておいたほうが良い事は何ですか?

小田さん:海外では業界人が集まるイベントがたくさんありまして、先生に「そこに行って、大人と話す練習をしろ」とよく言われていました。あとは、撮影現場のアルバイトに行ったり、積極的にそういう場所に行っていましたね。あとは、映画祭のボランティアとか。映画業界は横の繋がりだなと思ったので、そういう場には積極的に足を運んでいました。日本の映画業界は狭いと言われているじゃないですか。インターンとか、アルバイトとかで片足を突っ込む機会があれば、学生のうちから知り合いを作ることは大事だと思います。

TAKE:それでは、ずっと好きな映画ベスト1は何ですか?

小田さん:マーティン・スコセッシ監督が撮った『ラスト・ワルツ』という映画で、“ザ・バンド”というグループのドキュメンタリーです。それが一番観ている映画だと思います。留学中の課題にもこの作品を選んだのですが、「普通の映画でやってくれ」って、先生に怒られました(笑)。機会があったら観てみてください。

TAKE:はいっ!

今回の記事担当:TAKE
【取材しての感想】
とにかく映画祭の裏事情に驚きました(笑)。それと同時に、小田さんのような方々が活躍されているからこそ、私達は映画を日本で楽しむことができるのだと実感しました。これから学生映画宣伝局がどのような企画を作っていくかはまだ未知数ですが、私も学生の皆さんに楽しい宣伝ができるような映画を発掘していきたいなと思いました。

取材日:2018年5月22日

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映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』ヘレン・ミレン/ジェイソン・クラーク★小田さんが所属するリージェンツの最新作

『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』
2018年6月29日より劇場公開
公式サイト
監督: マイケル・スピエリッグ/ピーター・スピエリッグ
出演:ヘレン・ミレン/ジェイソン・クラーク/セーラ・スヌーク
配給:REGENTS、ポニーキャニオン

ウィンチェスター銃を開発し、莫大な資産を築いたウィンチェスター一族が住んでいた“世界で最も有名な幽霊屋敷”ウィンチェスターミステリーハウス。呪われたように増築を続けるウィンチェスターハウスの歴史に隠された秘密とは?名優ヘレン・ミレン、ジェイソン・クラーク主演で、身の毛もよだつ実話を映画化。

映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』ヘレン・ミレン

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About Author

局長

私も学生の頃に、こんな企画があったらやってみたかったな〜という思いも込めて立ち上げました。学生の間にしかできない体験をしてもらい、その体験を通して発せられる情報が、映画ファンの拡大に繋がればステキだなと思います。学生の皆さんだからこそ出てくるアイデアやエネルギーに触れて、私達スタッフも一緒に宣伝を楽しみたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします! 私は物心がついた頃から映画が大好きで、大学を卒業すると同時に大阪から上京し、ただ映画が好きという気持ちだけで突っ走ってきました。これまで出会った多くの方のおかげで、今は大好きな映画のお仕事をさせて頂いています。地方の学生の皆さんもぜひ参加してください。課題以外でも、皆さんと集まってお話ができる機会も作りたいと思いますし、少しでも皆さんの将来のお役に立てれば嬉しいです。

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