国内外でさまざまな問題が起きているが、自分が当事者になるまで、それはただのニュースという感覚になってしまうこともしばしば。今回は、現実に起こりうるトラブルを描いた2作品を例に、当事者の言い分にフォーカスしてみる。
ツイート天空の蜂
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<あらゆる当事者の苦悩> |
2011年3月11日に起きた東日本大震災で原発問題は以前より身近な話題になりましたが、この原作小説は1995年に作られたと考えると、それまで自分はいかに無関心だったかと気付かされます。本作は、原子力発電に関わる人物のいろいろな視点を描いており、当事者の周囲にいる第三者と、当事者自身の違いはもちろん、端から見ているだけの情報と、もっと当事者に近づいてわかることのギャップを浮き彫りにしています。ネタバレするので具体的には書きませんが、原発に賛成か反対かという単純な問題ではなく、原発に関わる仕事をしている人、そうでない人、原発がある町に住む人のあいだでも、認識や価値観に大きな差があることがわかり、一筋縄ではいかない難題だと実感しつつ、それでも個々に関心を持ち、考えることが必要だと喚起されられます。 |
クーデター
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<事情を知らず当事者になってしまった者の死闘> |
とある国へ支援事業のためにやってきたジャックですが、現地の国民は外国人を歓迎していない様子。それは何が原因しているのか、終盤で明らかになりますが、“海外支援”というと聞こえが良いし、自分は良い行いをするためにその国に行くのだから、憎まれるはずはないと思ってしまいますよね。でも、その国の人にとっては、いろいろな立場で見え方が違うのでしょう。そういったことを事前に把握した上で行動するのか、全く知らないで行動するのかで、状況は大きく変わります。いつの間にか自分が当事者になっていて、その時点で自体を把握しても遅い。少なくとも自分が新たに接する社会、環境については、事前にいろいろなことに関心をもって、あらゆる視点で見て、知っておくことが必要ですね。 |
自分に降りかかってこないとピンとこないのはもちろんだし、世の中のことを全部知るのは無理にですが、いろいろなことに関心を向ける努力は必要ですね。また、偏った情報で判断せず、相反する意見があるなら両方を聞いた上で、自分の意見を持つことが大事なのではと思います。
2015.9.14 TEXT by Myson