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『ムード・インディゴ〜うたかたの日々〜』
2014年4月2日Blu-ray&DVDリリース(レンタル同時)
2014年3月29日実施
TSトーキョー社内にて
鑑賞会&座談会
※一部、ネタバレする箇所があります。
マイソン:では感想をお願いします。
Aさん:私は今までに体験したことのないタイプの作品でした。最初は「どう解釈したら良いんだろう?」って観る視点に戸惑いました。でもだんだんと慣れていってストーリーも掴めてきて、前半をポップでファンタジックに描いているからこそ後半にズッシリとくるものがありました。
Bさん:実は私はフランス版のDVDをフランス人の友だちにもらって持っているんです。でも字幕がないので映像しか観ていなくて、今回は字幕でストーリーを知るために参加しました。最初と最後の映像の雰囲気が全然違ったり、ファンタジーの部分をあんな風に映像にできたのはミシェル・ゴンドリー監督だからこそだと思います。
Cさん:私は1960年代に同じ原作が基となって作られたシャルル・ベルモン監督の『うたかたの日々』を観たことがあります。でも観た当時は若かったので単純に「不思議な映画だな〜」と思ったんですが、大人になって改めて観てみると、愛する人がいるけどお金がないという描写などがすごく現実的に感じて、何とも言えない切なさが残る作品だと思いました。この感覚は『エターナル・サンシャイン』を観たときとも似ていて、やっぱりミシェル・ゴンドリー監督ならではだと思いました。
Dさん:内容的に理解できなかった箇所もありましたが、とにかく映像がキレイで色がだんだんと変化していくのがおもしろいなと思いました。最初は笑える場面もあったのですが、映像のトーンの変化と共にだんだんとシリアスになっていったので笑えなくなりました。フランス映画ってブラックユーモアのある作品が多いですよね。この映画にもそういう場面がありましたが、フランス人はブラックユーモアをどう受け取るのかが気になります。ちなみに原作だとどう描かれていたんですか?
Cさん:原作者のボリス・ヴィアンがわりとブラックユーモアとか残酷な部分を入れるタイプの作家なので原作にもそういう描写はありました。なのでそういう背景を踏まえてこの映画を観るとさらに「なるほどな」って思うかも知れません。
マイソン:原作はフランスでは400万部を超えるミリオンセラーだったようでね。あと実はこの映画は、レンタルは本編95分、セル版は本編131分が収録されています。短い版はただカットされているだけでなく、別テイクを使ったり、再編集を施したバージョンになっているようですよ。今日観て頂いたのは長い方ですが、もし短い方を観たら解釈が変わるかもわかりませんね。
一同:え〜!短い方も気になる。
マイソン:観る前のイメージと印象が変わりましたか?
Eさん:私はミシェル・ゴンドリー監督が好きなので、この作品も観たいと思っていました。始めは「やっぱりこういうポップな感じなんだ。楽しいな〜」と思っていましたが、だんだんとあらぬ方向へ進んでいったので、最初と最後では全然イメージが違いました。フランス映画はどの作品でも、共感できないちょっと置いてきぼりにされる部分がある気がします。この映画にもそういうシーンが満載でしたが、それが心地良くておもしろいなって思えました。
Fさん:私は『アメリ』とか『エターナル・サンシャイン』みたいな感じを想像していたので、冒頭からびっくりしました。理解が難しい部分もあるお話でしたが、クロエの病気が進行するに連れてお金がなくなり、家そのものが変化していったりするのは、視覚的効果ですごくわかりやすく描かれていると思いました。きっと話は何回観ても全部を理解することはできないかも知れませんが、「それで良いんだ」って思えました。
Gさん:映画館でこの作品のポスターを見たときにすごくキレイだなと思っていて、『アメリ』とかみたいな夢見がちでファンタジックな話を想像していました。冒頭はちょっと動揺しましたが、中盤からはこの映画は世の中の不条理を観念的に描いているのかなと思いました。本当にフランス映画らしくて、「人生は楽しいことばかりじゃなくて、現実にはこういうことがある。でもそのなかに何か一つ良い思い出があったりもする。それが人生なんだ」っていうのをこういう形で描いたのかなと私は解釈しました。
Hさん:なんか今の説明を聞いて「そういう解釈で良いんだ」ってスッキリしました(笑)。機械とかがハイテクなのに昔のアナログな雰囲気のある別の世界が描かれているので、この世界に入るだけでいつもとは違う気持ちになるので観て良かったなと思いました。話はよくわからなかったですが、本当に今までにはないタイプの映画だなと思いました。でも何回も観て長く深く付き合っていきたい映画だと思いました。1960年代の映画と比べて観てもおもしろそうですね。
マイソン:抽象的な表現のなかで、何とでも解釈ができるのがおもしろいですよね。2回目に観たら変わるかも知れませんね。
マイソン:本作で共感できるところはありましたか?
Gさん:私は2人が恋に落ちてワクワクする感じから、結婚という現実が見えてきたときにだんだんと暗いところが見えてくるのは万国共通なのかなって思いました。
Iさん:前半の運命の出会い的なところはちょっと憧れるなと思いました。あとはクロエが病人扱いされたくないという気持ちや、ちょっとコランと距離を置きたいっていう気持ち、自分が死んだあとのことを考える気持ちもわかるので、クロエの気持ちには共感できるような気がしました。でもコランみたいな旦那さんはちょっとウザいなと思います(笑)。
Aさん:私も出会いから求婚するまでが良いなって思いました。でもそのほかの部分はあまり身近に感じられなくて共感するまでには至りませんでした。でも考えさせられるところは多々ありました。
マイソン:どんなところが考えさせられましたか?
Aさん:クロエが病気になってしまったあともコランはクロエを思って働いたりしていて、本当だったら疲れてしまうんじゃないかなって…。
マイソン:すごくファンタジーに描かれていますが、言っていることは現実的ですよね。ファンタジーになっているから自分とは別の世界として距離を置けますが、正面からぶつけられると辛いストーリーかも知れません。
Aさん:現実的なところの表現はやんわりしているけど、いろんなものを取り除いて観たら結構すごい話なのかなって思いました。青山真治監督の『サッド ヴァケイション』とか、はっきりわからないけど何かわかるみたいな感じにちょっと似ているなと思いました。
マイソン:この映画はどうやって楽しむのが一番良いと思いますか?
Eさん:基本的には一人でじっくりと観た方が良いのかなと思います。趣味が合うカップル同士だったら一緒に観て、「ここはどうだった」とか語ることもできると思うので、そういうカップルにはオススメしたいです。
Dさん:私も一人で観る方がオススメですね。でもフランス映画が好きな方と一緒に観て、ところどころ解説をしてもらったらさらに楽しいのかなと思いました。
Bさん:私にこの映画のDVDをくれたフランス人の友だちは、「この映画はちょっと難しいよ」と言っていました。
マイソン:そうなんですね。じゃあ無理矢理解釈しようとせずに自由に楽しめば良いってことですよね。
Cさん:私はこの映画を観ながら、誰の誕生日にこのDVDをあげようかなと考えていました。アート系の映画が好きな人、ミニシアター系の映画に慣れている人、あとはデューク・エリントンの曲が使われていてすごく良かったので音楽好きな人にも楽しめる映画だと思います。ストーリーを追うよりも雰囲気を楽しんで欲しいです。
Hさん:私は今日みたいに何人かで観た方が良いかなと思います。あとは観る年代によって解釈の仕方が変わってくる気がするので、1年に1回こういうときに観るんだっていうのを決めて、部屋を真っ暗にして観るのもアリだと思います。
マイソン:それおもしろいですね!「今年はここがわかりました」とか、毎年記録を付けると自分の成長がわかりますね(笑)。
Iさん:私の周りにはこういう展開のラブストーリーのお話やアート系の話が好きな人がいるのでそういう子たちに薦めたいです。あとは男性で恋愛映画はダメという人でも、この映画みたいなシュールな要素がある話だったら受け入れやすいのかなと思います。
マイソン:映画から何か得ないといけないと思っている人よりも、それなりに楽しんでくれる人の方が向いているのかも知れませんね。
Cさん:私はこの映画を最初から最後までワクワクしながら「この表現おもしろい!」とか「これも斬新」とか思って世界観そのものを楽しんで観ていました。なのでストーリー中心に観なくても良いんじゃないかなと思います。
マイソン:きっとこの映画は世界観を楽しんでも、ストーリーを追ってもどっちでも良いんでしょうね。
Gさん:こうなると短いバージョンがどう編集されているのかが余計に気になります(笑)。
一同:うんうん!
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…というわけで、今回は皆さんに本作の自分なりの解釈を語って頂きました。視覚的な部分はキレイとかカワイイと意見が一致していても、ストーリー的な部分ではかなりいろいろな解釈が出ていておもしろいなと思いました。この映画の世界観にピッタリとハマるロマン・デュリスとオドレイ・トトゥも見応え抜群ですよ。ポップでファンタジーな世界観に浸るのか、ストーリーを追って現実的な解釈をするのかはあなた次第です。ぜひご自身の目でお確かめください!
2014年4月2日Blu-ray&DVDリリース(レンタル同時)
■セル【特別編】は本編131分(初回特典ディスクには95分版も収録)
■レンタルは95分(恋人たちの愛の物語にフィーチャーした、セル版とは異なるバージョン)
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ロマン・デュリス/オドレイ・トトゥ/オマール・シー/ガッド・エルマレ
ポニーキャニオン
メーカーサイト 映画批評&デート向き映画判定
働かなくても良いほどの財産を持ちパリで自由に暮らしていたコランは、ある日無垢な魂を持つクロエと恋におち結婚。始めは幸せな日々を送っていたが、ある日クロエが肺の中に睡蓮が芽吹くという不思議な病に冒されてしまう。コランは何とか彼女を救おうといろいろと試してみるが財産も底を突き働くことに。それでもクロエは徐々に衰弱し、二人と周囲の人生もだんだんと狂い始める。
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2014.3.29 event