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20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
完璧を好む母によって築かれた完璧な家庭が、もろくも崩れていく様を描いた本作。なぜ『インテリア』というタイトルなのかと思いましたが、この母親がインテリア・デザイナーをしているというのがキーポイントで、この家族が住む家のインテリアがこの母親が抱える喪失感を抽象的に表す役割を果たしています。この母親は娘からは尊敬されつつもある種の恐れの対象ともなっているようで、この一家で絶対的な力を持つために父親も妻に合わせてきました。でもある日、父親が限界を訴えて別居することになったことで、母親もおかしくなっていきます。やはり、この母親も完璧を装うことで自分を支えていたんだなと思いました。そして、当然娘たちにも影響が出てきますが、人から愛されるために完璧になろうとすることが、逆に愛されない結果に結びつくという皮肉。完璧を求める余りに欠けたものばかりに目がいってしまう不幸。そんな切なさをひしひしと放つ本作は、一見悲劇ですが、同じような状況に陥っている人に大事なことを気付かせてくれる物語です。 |
2012.12.20 TEXT by Myson