シェイクスピアの戯曲を映画化した作品ですが、「1ポンドの肉を借金の担保にする」というフレーズを聴くとホラーにも思えますね。始めは言葉だけだろうと思って観ていたのですが、これがあとあととんち比べに発展する展開がおもしろいです。結末は「なるほど、お見事!」という解決法が出てきますが、ビジュアル的にはそうでなくても、精神的には1人のキャラクターにとってかなり残酷な結末である点で、インパクトがあります。 そして役者陣が名優揃いで見応えがあり、特にシャイロック役のアル・パチーノの演技はやっぱり引き込まれます。秒単位で変わる形勢逆転する場面で、人間のおぞましく醜い一面と、哀れな一面が混在する様子をとても見事に演じていて、観ている側も彼に同情と嫌悪感の両方を抱いてしまうという不思議な感覚を味わえます。 |
2012.12.20 TEXT by Myson