フランク・シナトラの名曲「マイ・ウェイ」を作ったフランスのスーパースター、クロード・フランソワの半生を描いた本作。クロード・フランソワという歌手のことは全く知らなかったのですが、この映画を観て興味が湧きました。それは音楽の功績というのではなく、昔のスターを絵に描いたような彼のキャラクターです。クロードを演じたジェレミー・レニエはクロードの写真を見るととてもそっくりなのですが、見た目がどちらかというとかわいい系男子なので、これほど傲慢で潔癖な人だとは思わず、ギャップが新鮮でした。さらに、その恋愛遍歴もすさまじいので、彼のスターとしてのドラマよりも、私はどちらかというと恋愛のごちゃごちゃの方を楽しんで観ました。ほんとこの男は面倒くさい(笑)!でも、きっとスーパースターになる人ですから、それだけの魅力があったんでしょうね。
あと意外だったのは、ポップ過ぎる歌と踊りです。「これだけ恋愛でドロドロしていて高慢ちきな男が歌っている歌がこれかい!」というツッコミを入れたくなるくらい楽しげに演出されているので、それが妙に滑稽に見えました。決して彼のスター性を否定するとかバカにするとかではありません。とても人間らしい人なんだなというところで感心した次第です。彼のこの世の去り方も驚くべき理由でしたが、彼の人生そのものがドラマのようで、そういうところも含めてスーパースターらしいなと思いました。あと個人的に注目したのはブノワ・マジメル。役作りでこうしているのかだいぶおっさんっぽくなって、貫禄バリバリです。
本作はクロード・フランソワ自体を知らなくても、「ちょっとこの男どうなのよ」という感覚で楽しんでもらえれば良いと思います。
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デートで観ても良いと思いますが、女好きで嫉妬深くて傲慢なスーパースターの日常は男子の見本とは言えません。彼氏や旦那さんには反面教師として見てもらえるなら良いでしょう。あと、主人公のクロードは潔癖でヒステリックな面があるのですが、カップルのどちらかがこういうタイプの場合はちょっと相手に重ねて見てしまって、映画が終わったらなぜかイラッとしているという状況になるかもしれません。そういうことを抜いては普通に楽しめる作品です。 |
歌ったり、踊ったりしているシーンは、今の時代と全く雰囲気が違うので新鮮で楽しめると思いますが、恋愛のゴタゴタも多いので、子どもにはちょっと早いかなと思える内容です。もう少し大人になっていろいろな経験を積んでから観ると、彼の一見不可解な行動なども「本当はこう思ってたんじゃないか」とかいろいろと考えを巡らせて観られると思います。でも、若い頃はほとんどの人がアイドルなどに憧れるでしょうから、そういう視点ならどう思うのか、ティーンなら観てみるのもありですね。 |