2013年9月7日より全国公開/PG-12
コムストック・グループ
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かなりブラックコメディ色の強い大人向けのアニメーション映画です。原作はフランスのベストセラー小説でパトリス・ルコント監督によりミュージカル仕立てで描かれています。原作がどういうトーンで進む物語なのかはわかりませんが、本作は自殺用品専門店が舞台となっていることからかなり陰鬱な雰囲気が漂っています。ですが決して観終わって暗い気分になるような作品ではありません。歌詞こそブラックではあるものの、ミュージカルの要素が上手くその陰鬱な雰囲気を中和してくれています。 物語は自殺用品専門店を経営する家族のお話で、暗い性格の家族のなかになぜか明るくて元気な男の子が誕生し、その明るさに家族ひとりひとりに心境の変化が訪れていきます。展開は読めるものの、やっぱり希望を与えてくれる素敵な話だったなという感想になりました。自殺する道具を堂々と売るお店なんて現実では考えられませんし、セールスするにも「この毒はかなり強力なのですぐ死ねますよ」とか普通に言っているのが不自然過ぎて笑えました。 また各キャラクターの名前も歴史上の有名な自殺者からとっていて、お父さんの名は三島由紀夫にちなみミシマという名で、娘はマリリン・モンローにちなみマリリンとついています。こういう名前を付けてしまうあたりもかなりブラックユーモアが利いていますよね(笑)。ぜひ映画館でこの陰鬱で楽しい世界を体験してみてください! |
ロマンチックさはありませんが、デートで観たら意外と盛り上がるかも知れません。自殺というテーマとミュージカル要素との激しいギャップが楽しい作品なので、一緒に観てそのブラックユーモアにどこが笑えてどこが笑えないのかなどを話すとおもしろいと思いでしょう。家族の物語としても楽しむことができるので、気軽に観に行ける良い作品です。 |
アニメーションでかわいらしい絵なのですが、本作はPG-12です。自殺がテーマであることもそうですが、お姉ちゃんのちょっとセクシーなシーンや、親が息子に喫煙を薦めるというシーンもあります。大人であればそういうシーンもブラックジョークの1つだと解釈できると思うのですが、キッズには刺激が強いかも知れません。もし観るのであれば保護者の方と一緒に観て、陰鬱な家族の元に生まれた前向きで明るい少年がどう自殺の多い世の中に立ち向かっていくのか見届けて欲しいと思います。 |
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© 2012 Diabolo Films, La Petite Reine, ARP, France 3 Cinéma, PCF Magasin des Suicides le film Inc., Entre Chien et Loup, RTBF
2013.8.28 TEXT by Shamy