本作は、1993年に23歳という若さで亡くなったリヴァー・フェニックスの幻の遺作。実はまだ撮影が終わっていないシーンがあり、完成できずに20年間眠っていた本作は、80歳を超えたジョルジュ・シュルイツァー監督の決意により完成までこぎつけたとのことです。もちろん主演のリヴァーはもういないので彼の登場シーンは撮影することができません。「じゃあどうやって作ったの?」と思う人も多いでしょうが、演出に工夫を凝らしてちゃんと物語は成立するように作られています。リヴァーは1993年10月31日に薬物の過剰摂取により急死しましたが、まさに本作の撮影中でした。本作で観るリヴァーは生き生きとしていて、まさかこの数日後に亡くなったなんて信じられないし、根っからのスターオーラと演技力を目にすると惜しい気持ちでいっぱいになります。
本作は旅の途中である夫婦が車が故障し立ち往生し人がほとんどいない砂漠地帯に1人で住む青年の家に身を寄せるところから始まります。善意か悪意かわからない青年の態度が本当に不気味で、無垢と狂気を兼ね備えた複雑なキャラクターをリヴァーが見事に演じています。でも、その青年が邪悪なのか、夫婦が狡猾なのか、善悪のあいまいさや人の懐疑心による落とし穴を見事に描いている点がこの作品のおもしろいところです。本当にリヴァー・フェニックスがカッコ良いので彼の生前を知っている世代もそうでない世代も観て欲しい作品です。
|
ビジュアル的にきついシーンや際どいシーンはありませんが、明るい話ではありません。ただ観た後にひきづるほどのものではないので、デートで観ても問題はありません。リヴァーが亡くなり撮影できなかったシーンがあるものの、うまくカバーする方法が使われており、物語自体は引き込まれるおもしろさがあります。上映時間も86分と短いので予定を組みやすいですよ。リヴァー・フェニックスは伝説のスターですが、彼についてあまり知らないという人を誘う場合は彼の過去作『スタンド・バイ・ミー』や『マイ・プライベート・アイダホ』などを一緒に観ておくと良いでしょう。 |
直接的に描いていて怖いシーンはあまりないですが、不気味なシーンは多々あるのでキッズには少々怖いかも知れません。趣味に目覚めるお年頃のティーンは、映画界の伝説リヴァー・フェニックスについて少し調べてみてから本作を観てみると、映画への興味がより一層深まるでしょう。生前の彼の活躍ぶりを知っている世代の大人と観て、いろいろと聞いてみても良いと思います。 |