『ゴーン・ガール』の原作者ギリアン・フリンによる小説「冥闇」の映画化、シャーリーズ・セロンが主演、ニコラス・ホルト、クロエ=グレース・モレッツが共演と、魅力的な要素が多い本作。さらに、『マッドメン』のクリスティナ・ヘンドリックス、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』『ストレイン 沈黙のエクリプス』のコリー・ストールなど、海外ドラマ好きも嬉しいキャストが登場します。有名な事件で幼い頃に家族を亡くした主人公リビーが、幼いあいだは多くの支援を得て暮らし、大人になってからは支援を打ち切られながら働いてもおらず堕落してしまっているという設定が切ないですが、実際にこういう現実があるのだろうと、社会には知られていない厳しい現実を垣間見る気分でした。そして、皮肉にも彼女の心に土足で入り込む人々の好奇心がきっかけで、長年葬られていた真相に近づいていくわけですが、リアリティを保ちながら、トリッキーな結末だったので、サスペンスとしての期待も裏切りません。
本作は、幼少期のトラウマが子どもにいかに影響を与えるかを描いた作品ですが、実は、シャーリーズ・セロンも幼少期に、酒癖が悪く暴力的だった父親から家族を守ろうと、実母が彼女の目の前で実父を射殺したという衝撃的な体験をしています。彼女は時間をかけて当時の怒りや苦しみの感情に向き合い、現在はそのトラウマに支配されることはなくなったと資料では語っていますが、そんな体験をした彼女がリビーという役柄を演じたと考えると、想像を絶する覚悟を感じます。そんなシャーリーズ・セロンの女優魂にも注目して観てください。
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楽しいムードになるような作品ではないですが、カップルで観て気まずいシーンは特にないので、サスペンスが好きなカップルなら、デートで観ても良さそうです。真相が歪められた事件を紐解いていく展開なので、観終わった後は、それぞれどういった推理をしながら観たのかなど、会話のネタにもなりそうです。 |
PG-12なので、12歳未満の人は、大人と一緒に観てください。幼くして事件に巻き込まれる経験はしたくないですが、回想シーンではティーンの生活が多く描かれているので、ティーンの皆さんも感情移入しやすいストーリーになっています。主人公以外にも、家族を守るために行動した母や兄などの心情を想像してみると、家族の尊さを感じられると思います。 |