TOP > 映画批評TOP > 映画批評タ行 > HERE

デトロイト

2018年1月26日より全国公開
ロングライド
公式サイト

映画『デトロイト』ジョン・ボイエガ 1967年7月、デトロイトで、死者43名、負傷者1100人以上を出した史上最大級の暴動が起きました。そして、暴動勃発から3日目、アルジェル・モーテルではさらなる悲劇が起こりました。本作は、その実話を基にしています。人種差別問題は未だ続いており、近年でも白人の警察官による黒人市民への不当な扱いはいくつも報道されました。アルジェル・モーテルで起きた事件もまさにそれと同じ。本当にこんなひどい事が起きていたのだと想像すると、身も凍る思いです。緊張感がずっと張り詰めた状態の142分間は、観ていて本当に辛かったです。ドキュメンタリーではありませんが、ドキュメンタリーのようなリアルさがあります。個々のキャラクターのセリフの細かい部分にも、どういう価値観を持っているのか、人種の違いをどう受け止めているのかが表れていて、多くの登場人物がいるにも関わらず、人物描写の丁寧さが伝わってきます。ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールターなど、俳優陣の演技も見事。キャスリン・ビグロー監督の手腕を証明する作品がまた一つ増えたと言えます。

実話の映画化でとてもシリアスだし、ずっと緊張感が続くので、デートで観るような雰囲気ではありません。142分と長いこともあり、2人とも観たいというのでなければ、敢えてオススメしません。映画自体はとても良くできていて、見応えがあるので、同じように興味を持つ友人か、1人でじっくり観るのが良いと思います。

1967年のお話ですが、今もなお続いていている人種差別問題を扱っています。上映時間がかなり長いので小学生には少々きついかも知れませんが、中学生以上ならぜひ観て欲しいと思います。こんなことが実際に起きているという現実を知り、なぜ人間はこんなことをしてしまうのか、こういう社会に自分がいたらどうするかを考えるきっかけにしてもらえれば、有意義だと思います。