ダウンサイズ

『アバウト・シュミット』『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』のアレクサンダー・ペイン監督作ということで期待が膨らみましたが、その期待を裏切らない作品でした。前半は、豊かな生活を送り、資源を節約するために開発された“ダウンサイズ”技術と、それを実現した人々の暮らしぶりにワクワクして、「これって、本当にアリなんじゃない？」とすら思ってしまいます。ダウンサイズするために行われる処置の描写もコミカルなので笑って観られるのですが、後半でガラッとテンションが変わります。ミニサイズになったことでセカンドチャンスを得るのかと思いきや、ある事がきっかけですべてを失い、さらに生き延びるために究極の選択を迫られた主人公が、そこで本当の意味での人生のセカンドチャンスを得ます。その過程が描かれる後半では、濃厚キャラクターのノク・ラン・トラン（ホン・チャウ）とのやりとりが見どころで、人としてどう生きるかを考えさせられる展開に引き込まれました。結局、お金の問題などが片付いても、生きる意味をわかっていないと、どんな生活でも同じこと。自己中心的ではなく、誰かを愛して、誰かの役に立つ生き方がいかに意義深いかを本作から学べます。豊かさとは何かを問うこのストーリーは、心にグッときました。老若男女問わず、オススメです！