洋裁店の二代目店主の女性の物語で、原作はマンガですが、コメディタッチな演出などはなく、正統派で雰囲気のある作品でした。中谷美紀が演じる主人公の一江は、洋裁の腕は一流なのにぶっきらぼうで口が悪く、周囲からは頑固オヤジと呼ばれるような女性。そんな彼女と洋裁店を訪れる人々との関わり合いが本作では描かれています。でも一江が二代目店主として洋裁店を支えていく様子だけでなく、意外と“二代目店主”というところがポイントとなり、一江自身の才能やオリジナリティについて考える部分があったのも良かったです。
洋服を直していつまでも着るということが、今は昔に比べると減りつつありますが、一度気に入った洋服を直しながら生涯に渡って着続けるのも素敵だなと思いました。劇中では親子二代に渡って洋服を引き継ぎ、一江が娘用に仕立て直す場面が印象的でした。古くからあるものの価値、自分の才能との向き合い方、その両方を考えさせてくれる作品です。頑固オヤジと呼ばれる女性がどんな道を選択するのか、ぜひご覧ください。
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恋愛要素はほぼなく、気まずいシーンを心配せずに観ることができるでしょう。2人のムードを盛り上げたいときよりも、普段のデート向きの作品です。良い物をいつまでも直しながら持つという素敵なメッセージもあるので、観終わってから「いつまでも使える物が欲しいね」という会話に繋げられたら、次のプレゼント候補に目星が付くかも知れませんよ。もちろん2人の関係が長く続くことを見越した上での話ですが(笑)。 |
キッズも観られますが、静かで淡々と進むタイプの作品なので、キッズは観ていて飽きてしまうかも知れません。できればもう少し大きくなって集中できるようになってから観てください。劇中に中学生が登場するので、中学生以上のティーンであれば、同じ目線で観ることができます。今はつい流行ばかりを追ってしまっているかも知れませんが、この映画を観ると物を長く使うことの良さをきっと理解できるはずです。自分の身の回りの物を整理するときは、ぜひ本作のことを思い出してください。 |