サスペンスとして楽しめることはもちろん、現代のいじめ問題もテーマに盛り込んだおもしろい作品でした。一人の女の子が高校のベランダから転落死するところから始まり、それが事故なのか事件なのかを父親の安藤が追っていきます。安藤が調べていくうちに一人のキレモノ女子高生、咲の存在が明らかになっていくのですが、彼女がとにかく手強い!クラスメイト、教師、そして警察まで周囲の人々の心を惑わす咲は本当に怖かったです。安藤との心理戦では、咲が常に先を行くので最後までハラハラドキドキさせられました。
そんな大人顔負けの咲は、当然クラスでも女王として君臨しているのですが、さらに怖いのがクラスメイトからは怖れられているのではなく憧れの存在であること。従来のいじめキャラだと、みんなに偉そうにしてターゲットの子をボコボコにするイメージでしたが、咲の場合は精神的に追い詰める姑息なやり方だったので、最近のいじめもこういうタイプが増えているのかなと思いました。また本作で安藤を演じた内野聖陽と、咲を演じた吉本実憂の演技も見応え抜群です。この二人の演技なしに本作の怖さはなかったかも知れません。特に吉本実憂は、“国民的美少女コンテスト”出身ということで可愛くて正統派なイメージがあるなかで、咲という憎まれ役に体当たりで挑戦しています。こうして今回殻を破ったことで、今後の活躍にもさらに期待が持てました。ぜひいろいろな角度から本作をご覧頂き、楽しんでください。
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恋愛要素はありませんが、どんなデートでも楽しめるタイプの作品です。安藤と咲の心理戦はかなりハラハラさせられるので、ジェットコースター効果で二人の距離も近づくなんてこともあるかも知れません(笑)。とはいえ、本作のおもしろさはやはりサスペンスの部分なので、観終わったら物語についてや咲の怖さについて話し合うと盛り上がると思います。もちろん真面目にいじめ問題について話し合って相手の考えを聞いてみても良いでしょう。 |
ホラー的な怖さはありませんが、咲のじわじわと心理的に攻めてくる怖さはキッズには理解が難しいかも知れません。できれば大きくなってから観ましょう。咲と同世代にあたる中高生のティーンは、もし咲のような子がクラスにいたらと想像しながら観てください。咲のような怖いタイプが実際にいたら怖いですが、彼女を反面教師としてぜひ皆さんは心から信頼できる友達を作ってください! |