ファースト・マン

本作は1969年7月にアポロ11号に乗り、人類史上初めて月面を歩き、無事地球に帰還した、ニール・アームストロング船長やその仲間達の偉業達成までの裏側を描いた作品です。本作を観てより深く宇宙研究の大変さ、危険性を知ることができました。命がけであるのは実際の宇宙飛行時だけでなく、訓練の時から過酷な状況で、そしてそこにも危険が漂います。また、宇宙研究に対する世の中の反応も決して前向きなものだけでなく、批判も受けていたことが描かれており、そういった意味でも研究に関わったさまざまな人々がいかに苦労をしたかが伝わってきます。さらに宇宙飛行士の日常も丁寧に描かれているのが印象的。彼らの一見穏やかな日常は実はとてもスリリングな状態にさらされていて、妻や子ども達にも大きな覚悟が必要だったことが明かされています。その宇宙飛行士達の生活と仕事のシーンのコントラストが際立っていることで、よりこの宇宙飛行が人生をかけたものであることも実感できると同時に、彼らも一人の人間であるという親近感がわき、宇宙飛行という私達にとっての非日常を描いていても、とても身近なストーリーとして心に染みてきます。ドラマの演出の見事さはさることながら、名優揃いで一人ひとりの演技も見応え充分。2時間21分という長さも気にならないほど、良い緊張感が続き、ラストの感動を煽ります。地上でのドラマにも重きを置かれているため、宇宙のシーンは思ってたほどの尺のボリュームはありませんでしたが、やはり月面着陸のシーンは大きなスクリーンで観て、臨場感を味わって欲しいです。