本作は10歳と6歳の兄弟がお母さんを3日間かけて捜す物語が描かれているのですが、原題が“JACK(=ジャック、長男の名前)”となっている通り、兄のジャックを中心としたお話となっています。ジャックは弟と二人のときだと弟の世話をして、しっかりしているのですが、お母さんといるときは、ボーイフレンド(お母さんの)にやきもちを妬いたり、わがままを言ったりと、子どもらしい部分が見え、10歳くらいのお兄ちゃんの心境の複雑さを感じました。
ジャックたちの母親は、常にいろいろな男性と付き合うタイプで、子どもの前で真っ裸でうろついたり、その奔放さは観ていて呆れてしまうほどでしたが、そういう母親でもジャックたちにとっては唯一の大切な母親なのが、観ていて切なくなりました。ネタバレになるのでこれ以上は書けませんが、10歳の子どもは見た目が子どもでも、いろいろな状況をしっかりと受け止め、想像以上に早いスピードで大人になっていることがよくわかる作品です。ジャックのような複雑な環境下でなくても、きっとどの子どもでも共通する部分なのかも知れません。現在子どもがいる方はもちろん、これから子を持つ方にもぜひ観て欲しいと思います。
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ムードを盛り上げるタイプの作品ではありませんが、結婚を意識しているカップルや、夫婦にはぜひ観て欲しい作品です。ドイツ映画なので、もちろん文化的に違う部分はあると思いますが、子どもの成長や、子どもがどう大人の世界を見ているのかがよくわかる作品なので、共感できる部分も多いと思います。子どもがいる夫婦なら自分たちの子について話し合ったり、子どもがいないカップルでも大人として子どもとどう接していくべきなのか、ぜひこれを機に考えてみてください。 |
PG-12なので、12歳未満のキッズは大人と一緒に観てください。子どもが主役の作品とはいえ、キッズだとジャックたちの境遇に共感して終わってしまう気がするので、できれば大きくなってから観ることをオススメします。ティーンは、自分が10歳くらいだった頃を思い出して、どんな風に成長してきたのか振り返りながら観てください。大人になると子どもの頃の感覚をどんどん忘れていってしまいますが、自分自身の記憶や、本作のジャックの視点をぜひ忘れずにいてください。そうすると将来、少なくともジャックの母親のようにはならないと思います(苦笑)。 |