やっぱりトム・ハンクスってすごい役者ですね。こういう役をやらせたらピカイチだと思います。普通の人間が起こした信じられないような奇跡の実話を、トム・ハンクスが演じると、そのドラマチックさとリアルさがうまく織り交ぜられ、すんなり心に入ってきます。
本作の主人公は、実在するアメリカの弁護士ジェームズ・ドノヴァン。彼は保険の分野で実力を発揮してきた弁護士でしたが、ある日突然、冷戦下にあるアメリカとソ連の問題に大きく関わる案件を担当することになります。大人の事情で、国同士の交渉にできない取引で、それぞれの国に捉えられたスパイを交換するというお役目を担うのですが、彼が一般人だったからこそ、“人間的な”対処にこだわる点でとても共感できました。それはただの交渉ではなく、自分の命も賭けた危険な取引。どうして交渉役の弁護士が命を賭けることになるのかは映画をご覧頂くとして、国同士の壁が大きく立ちはだかる時代に生きながらも、その壁を越えて依頼人と心で接する主人公の姿勢にとても感動しました。アメリカの弁護士は正義よりも勝利を重視する印象であまり好感を抱くことはありませんでしたが、彼もそういう一面がある一方で、こうやって人助けをしたというのを知ると、ときに公平かどうかよりも“勝つためのスタンス”も必要なのかなと考えさせられる部分もありました。ただ、どちらの視点で観るのかによって正義の定義も変わるので、一概に彼を崇めるわけではありませんが、彼が後にジョン・F ・ケネディによって、1113人の囚人の釈放を交渉するためキューバに送られ、国民の救出に貢献したという事実も知ると、彼のなかで、仕事の在り方が変わったのかなということも感じました。本作を観て、人助けには権力よりも、人としての良心と信念が必要なんだなと実感しましたが、人間の素晴らしい面をたくさん観られる秀作です。監督はスティーブン・スピルバーグ、脚本はジョエル&イーサン・コーエンという点も映画好きには見逃せないですね。
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デートが盛り上がるようなロマンチックな展開はないものの、スリリングな展開とドラマチックな人間ドラマは見応えがあり、年齢、男女問わず楽しめる内容なので、どんな人を誘っても大きく外すことは無いでしょう。冷戦下のアメリカとソ連のスパイ交換のストーリーと聞くとお堅い映画に思えますが、内容はわかりやすいのでそういう点でも心配も無用です。 |
キッズには少々難しいかも知れませんが、小学校高学年以上なら、冷戦とはどういうことかというのさえわかっていれば、ストーリーは理解できると思います。また学校では習わない歴史上の事実が描かれている点で、歴史を動かしているのはお偉い役人だけではないということもわかると思います。私たちと同じ一般人の行動の重要性にも注目して観てください。 |
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