今回は、映画『クローバー』の主人公、沙耶役を演じた武井咲さんと古澤健監督にインタビューさせて頂きました。もしも社内恋愛中の彼に無視されたら「人としてダメなことなので“何で無視したんですか?”と、きちんと聞きに行きます」という武井さん、沙耶のような女子について「真摯に向き合わないといけないから僕が告白するのはハードルが高いかも」という古澤健監督。そんなお二人が恋愛におけるケンカの重要性についてや胸キュンポイントをお話してくれました。
PROFILE
武井咲
1993年12月25日、愛知県生まれ。2006年、第11回全日本国民的美少女コンテストでモデル部門、マルチメディア賞をダブル受賞し、2007年に雑誌「Seventeen」で専属モデルとしてデビュー。2009年に『オトメン(乙男)〜夏〜』でドラマデビューを果たす。2011年に出演したドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』で準主役を演じブレイク。その他出演作に、映画『愛と誠』『今日、恋はじめます』『るろうに剣心』など、ドラマ『Wの悲劇』『戦力外捜査官』『ゼロの真実〜監察医・松本真央〜』『すべてがFになる』などがある。
古澤健
1972年、東京都生まれ。早稲田大学卒。1997年PFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワードで、8mm映画『home sweet movie』が脚本賞を受賞。続いて撮った16mm映画『怯える』が仏クレルモンフェラン国際短編映画祭に招待される。その後、黒沢清監督の『大いなる幻影』『回路』などで助監督をし、『超極道』『ドッペルゲンガー』『こっくりさん 日本版』などで脚本を担当。2006年には『オトシモノ』で監督を務め、『Another アナザー』『今日、恋はじめます』『ルームメイト』『クローバー』など数々の話題作を発表。
2015年5月8日ブルーレイ&DVDリリース(レンタル同時)
監督:古澤健
原作:鉄拳
出演:武井 咲 大倉忠義
永山絢斗 夏菜 / 木南晴夏 水沢エレナ 光浦靖子 今野杏南 内藤理沙
村上健志(フルーツポンチ) 鈴木 拓(ドランクドラゴン) 柴田理恵 宍戸開 / 西村雅彦 / 上地雄輔
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恋愛オンチでピュアなOL沙耶は、クールで出世に貪欲なイケメン上司の柘植からいつも厳しく叱られてばかり。でもある日、そんな厳しい柘植からいきなり交際の申し込みが!わけもわからず付き合い始め、沙耶は次第に柘植の魅力に気づき始めるが、申し込んできたはずの柘植はちっとも優しくならない。むしろ、S度は急上昇し…。
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定
©2014映画「クローバー」製作委員会 ©稚野鳥子/集英社
シャミ:
本作は少女マンガが原作で、映画にも女子がキュンとしてしまうポイントもたくさんあったのですが、男性である監督が少女マンガを映画化するにあたって、難しかったところはありますか?
古澤健監督:
あまり難しさはなかったんですよ。僕が少女マンガを読んでいるときって、女子目線で読んでいるんですよ(笑)。少女マンガって、本当にキュンとするシーンや台詞がたくさんあって麻薬のようだなって思うんです。僕はいつもそういうページに差し掛かると、一度本を閉じて余韻を味わうんです。なので、自分が少女マンガを読んだときにキュンとして余韻に浸りたくなった気持ちをちゃんと映画で表現できるかっていうところを気にしながら取り組みました。
シャミ:
女子目線で読んでいたとは意外でした!では、武井さんにお伺います。沙耶を演じてみて共感できたところはどんなところですか?
武井咲さん:
恋愛って忙しいなって思ったところですね。この撮影をしているときって、本当に柘植さん(大倉忠義が演じたドS上司)に振り回されていたというか、感情の変化がめまぐるしいなって思ったんです。でもそれは実際に恋愛しているときもそうなんですよね。すごく疲れていて外に出たくないのに、好きな子から呼ばれたら行けちゃうそのパワーって、普段の自分だと考えられない奇跡的なパワーじゃないですか。なのでそういう恋愛感情の忙しさにすごく共感できましたし、沙耶として違和感なく恋愛をしていた気分でした。
シャミ:
実際に沙耶を演じてみて、柘植さんに一番キュンとしたところはどんなところですか?
武井咲さん:
マンガにも出てくる有名なシーンがすごく綺麗でロマンチックだったんですが、沙耶として生きていると本当にちょっとした柘植さんの優しさが見えたり、2人だけのときの柘植さんが見られるので、そういうところの方がキュンときました。あとは、柘植さんとケンカしたシーンもそうですね。好きな人とケンカをするって自分のなかで大イベントじゃないですか。ものすごい問題が起きてしまってそのことで頭がいっぱいになってしまう、その感覚って恋愛をしているっていう感じがしてすごく胸がキュンとします。
古澤健監督:
僕も、マンションで2人がケンカをするシーンはグッときましたね。沙耶はもともと自分の意見をあんなに言える子じゃなかったけど、柘植さんが好きだからこそ自分の気持ちを自分の言葉で言える子にだんだん変わっていったんだと思います。
シャミ:
そうですよね、あのシーンは沙耶が一番ストレートに自分の気持ちを相手にぶつけていてすごく印象に残っています。このお話は沙耶が柘植さんから告白されるところから始まって、2人の感情の変化も描かれていたと思うのですが、そういう恋愛感情の変化についてはどう思いますか?
武井咲さん:
すごく真面目な話になりますが、価値観が同じでも違っても、思いやりがなかったら一緒にはいられなくなってしまいますよね。だからケンカをしてぶつかり合うってことは、すごく良いことだと思うんです。この2人の場合も、沙耶は「私はこう思うからこうする」っていう意志の強さがあって、柘植さんも上手く言えないけどちゃんと沙耶に対する想いがある、だから結果的にお互いを想うからこそケンカになっちゃうんですよね。でもそのケンカをすることによって、お互いの好きの温度を調節したんじゃないかって思うんです。思いやりが足りなかったなとか、ワガママだったなとか、ケンカを通して相手に対する想いを見直すことができる。そういうのがあるから恋愛っておもしろいんですよね(笑)。
古澤健監督:
そうだよね。相手は自分とは違う人間で違う価値観を持っているってことをきちんと認め合えることがすごく大事なんだと思います。例えば、好きとかいちいち言わなくても行動でわかるでしょっていう価値観の人もいれば、沙耶みたいに「不安になるから、ちゃんと好きって言って」という人もいますよね。それは確かに2人の価値観が違う部分なんだけど、そのケンカのなかで気づくんですよ。自分は伝わっていると思っていたけどそれは自己満足であって、伝えるべきことはきちんと言葉にしないといけないんだなって。そうやって自分を変えていくことができるケンカってすごく良いなって思います。
シャミ:
なるほど〜、ケンカってものすごく深いですね!
シャミ:
大倉さんが演じた柘植さんはかなりドSだったんですけど、2人きりになるとすごく優しい面もあって、そのギャップが素敵だなって思ったんですが、そういう男性のギャップで武井さんご自身が惹かれるところってありますか?
武井咲さん:
みんながこの場を楽しむためにいろいろな話で盛り上げて明るくしているけど、ちゃんと一線を置いて自分をちゃんと守っている人が良いですね。いつでも100%オープンなのではなく、40〜50%隠している人の方が私はすごく惹かれます。「この人は何なんだろう?その隠された扉を開けてみたいな」って(笑)。だから柘植さんみたいな人も気になりますね。
シャミ:
ドSではありますが(笑)、やっぱり隠された一面があるとドキッとしますよね。では最後にトーキョー女子映画部のユーザーに向けて本作のオススメコメントをお願いします。
武井咲さん:
オフィスラブを題材にしたストーリーで、この映画を観ていると沙耶と柘植さんの恋愛をちょっと覗き見している感覚になるんですよね。そこがたまらなく良いので、一人で観て私もこんな恋愛したいなって思ってもらえると良いなって思います。もちろん友達と共感するのも楽しいと思うんですけど一人で細かいところまで胸キュンしながら観て欲しいシーンがたくさんあるんですよ。「誰か私のこと奪ってくれないかな〜」とか、ドキドキするような妄想もできちゃうので、その世界観にどっぷりハマって観て欲しいです。
シャミ:
じゃあお家で鑑賞はピッタリですね!
武井咲さん:
はい、かなり向いていると思います。私もちょこちょこ観たくなりますよ、心に潤いを与えなきゃって(笑)。
シャミ:
ありがとうございます!では監督お願いします。
古澤健監督:
僕はどうしても女子目線になっちゃうところがあるんですが(笑)、恋愛は女の子にとってのある種、自己実現の場でもあると思うので、そこでみんなに主役になって欲しいなって思うんですよ。沙耶みたいに最初は訳がわからないドSの男をちゃんと自分好みに変えて、ちゃんと好きって言わせるって、彼女の強さなんですよね。なのでこの映画を観て、皆さんのなかの沙耶を育てていって欲しいなって思います。
本作の注目シーンについては、お二人とも沙耶が柘植さんにドライヤーをかけてもらうシーンということで、武井さんは「頭をなでてもらっている感じがして良かったです」、監督は「沙耶が柘植さんの方へ振り向いて、膝に腕を乗せるところにキュンときました」と話していました。最近、恋愛をしていない方、相手との関係がマンネリしている方、ぜひ本作を観て恋愛意欲をアップさせましょう!
2015年3月5日取材&TEXT by Shamy