FOUJITA

本作は実在した日本人画家、フジタ（＝藤田嗣治）について描いた物語ですが、伝記的な構成ではなく、1920年代の華やかなパリと1940年の戦時中の日本での生活が断片的に描かれた作品です。一番の見どころとしては、やはりオダギリジョーの演技です。鑑賞前後にぜひ本物の藤田嗣治の写真をチェックして欲しいのですが、本人にかなりソックリです。さらにオダギリジョーは、ただ容姿を似せただけでなく、見事なフランス語も披露しています。物語の半分がフランスパートなので、フランス語を話すシーンがかなり多いのですが、「一体どれだけ練習したんだろう」と思うくらい流暢なフランス語で、今後オダギリジョーがもっと海外で活躍することにも期待したいと思いました。
物語としては、抽象的に描かれている部分もあったので、正直モヤモヤしてしまったのですが（笑）、後日、本作のプロデューサーのクローディー・オサールさんにインタビューさせて頂いたときに、クローディーさんが「この作品を観ていると、各シーンが1枚1枚の絵画を見ているような感覚になるんです。その印象は、フジタの絵を見たときと非常に似ています」と話していて、やっと本作の観方を知ることができ、モヤモヤが一気に晴れました。具体的にフジタの半生を追うお話ではないので、観る人によって捉え方が違うと思いますが、美術館に行くような感覚で、ぜひ本作をご覧ください。