祖父、母は映画監督で、父は音響効果監督、そして叔父がラース・フォン・トリアーという、ヨアキム・トリアー監督がメガホンを執った本作。さすが映画人一家に生まれただけあって、普段からセンスが研ぎ澄まされるのか、洗練された作品だと感じました。本作は、母が亡くなり、父と2人の息子だけになった一家が、悲しみを乗り越えていくというストーリー。母の遺品を整理していて、知りたくなかった母のもう一つの顔を知る長男、母の死からふさぎ込み引きこもりがちになった次男、次男を心配するもうまく心を通わせることができない父…。母の死で壊れた家族が、母の真相と向き合うべき時が来たことで、再生するきっかけを掴んでいく展開は、最後に清々しい気持ちにさせてくれます。一人ひとりのキャラクターの心情をとても丁寧に描き、父と次男、母と長男という、家族のなかでも似たもの同士の対比もすごく絶妙。どんな家族にもこういう一面ってあるんじゃないかと共感できました。一家を演じたガブリエル・バーン、ジェシー・アイゼンバーグ、イザベル・ユペール、デヴィン・ドルイドの演技も素晴らしかったです。ヨアキム・トリアー監督が次にどんな作品を撮るのか、今後も楽しみです。
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静かにジワジワと展開するストーリーで、派手さはありませんが、人間ドラマとしても見応えがあるので、男女共に楽しめると思います。男女関係がこじれそうな展開も出てきますが、自分達に置きかえて気まずくなるほど、近いシチュエーションではないので心配しなくても良さそう。ただ、わかりやすいメッセージが描写されているタイプの映画ではないので、ある程度の理解力、読解力がある人を誘うと良いでしょう。 |
キッズにはまだピンとこない内容だと思いますが、中学生以上なら観ても良いのでは無いでしょうか。親とちょっとギクシャクし始める思春期の皆さんは、本作に登場する次男の視点で、自分達の関係も客観視できるでしょう。少し大人な話題というか、両親についてのことで、子どもには心苦しい展開もありますが、こういうことも世の中にはあるのだと徐々に知って、人は大人になるのだと思います。 |