REVIEW
“新感染”シリーズや、韓国ドラマ『地獄が呼んでいる』など、数々のヒット作を生み出してきたヨン・サンホ監督が、自身初のグラフィックノベルを原作に念願の映画化を実現させた作品が本作です。原作「顔」は2018年に、サンホ監督自らが執筆、作画し、当時から実写化を熱望、「自分の作品の中でも最も大切に思っている」と述べています(映画公式資料)。

主人公は、盲目の父に男手一つで育てられたドンファン(パク・ジョンミン)です。ドンファンは、ある日、40年前に姿を消した母ヨンヒの白骨遺体が発見されたという知らせを受けます。さらに、殺人の可能性もあるといわれ、真相を探るために生前の母を知る人物に話を聞いて回ります。

ドンファンの父ヨンギュ(クォン・ヘヒョ)は、美しい判子を作る篆刻家(てんこくか)で、“韓国の生きた伝説”と称されています。一方、母チョン・ヨンヒ(シン・ジョンビン)は、顔がわかる写真は残っていないとされ、生前のヨンヒを知る人は皆、口を揃えて醜い顔をしていたと話します。こうした背景から、本作が美しさ、醜さとは何かをテーマにしていることがわかるでしょう。

ヨンヒの容姿については、「そんなにいわなくても」というほど口々に醜いと語られるなか、ストーリーが展開していくと、美しい心を持った女性だったことが伝わってきます。ただ、容姿の美しさよりも心の美しさが尊いというような短絡的なストーリーで終わらない点に本作の秀逸さがあります。

人は何かしらの劣等感によって、屈折した考えに苛まれることがあります。劣等感の種類はそれぞれのキャラクターで異なるとして、各々の屈折した考えが複雑に交錯し、人生が崩壊していく不条理を、本作は描いています。同時にこのストーリーは、「見える、見えない」とはどういうことかを問うています。それは、視力の話ではなく、審美眼のことです。それぞれのキャラクターが審美眼を持っているのか否かをどう描いているのかが、最大の見どころとなっています。

そして、本作ではヨンヒの顔がずっと映りません。だから、どんな顔をしているのか気になって仕方がありません。でも、この演出こそ本作が伝えようとしているテーマに直結しています。最後は何ともいいようのない思考、感情が襲ってきます。至る所が見事な本作は必見です。
デート向き映画判定

夫婦の物語ともいえる点で、デートで観た場合にお互いにどんな反応になるのかが読めません(苦笑)。なぜパートナーが自分と交際しているのかわからない状態、かつネガティブ思考の方は、デートで観るよりも、ポジティブ思考の友達を誘って観るほうが良いでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

一人息子であるドンファンが知られざる親の過去を徐々に知っていく過程が描かれているので、皆さんも同じ目線で何かしら感じるところがあるでしょう。子どもとしては耳の痛い話も出てくるので、心がザワザワさせられると思います。ドンファンがどう折り合いをつけるのかにも要注目です。

『顔 -かお-』
2026年8月28日より全国公開
ツイン
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2026年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

- イイ俳優セレクション/クォン・ヘヒョ(後日UP)
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