REVIEW

ミナリ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ミナリ』スティーヴン・ユァン

自分で体験したわけではないのに、すごく自然にすとーんと心に響いてくるストーリーで、私達の誰もが家族とこういった経験を日々しているという感覚で共感できる作品です。物語の舞台は1980年代のアーカンソー州(アメリカ)、主人公は韓国系移民の一家です。農業で成功することを夢見るジェイコブは、妻のモニカに詳細を話さずに広大な土地とオンボロのトレーラーハウスを買い、家族はそこに引っ越してきます。限られた資金を元手にジェイコブは農業を始めますが、苦難だらけで家計は火の車。まだ幼い息子のデビッドには持病があり、心配は尽きません。物語はこの4人家族に祖母が加わり進行していきます。
経済的に余裕がないにも関わらず、大きな夢に挑む父、現実的に明日の生活の心配をする母、家族の様子を静かに見つめる長女、まだまだやんちゃ盛りの長男、娘一家を助けようと明るく気丈に振る舞う祖母…彼らはどこにでもいる家族で、どこにでもありそうなストーリーなのですが、一日いちにちに起こる些細な出来事が丁寧に描かれていて、私達が忙殺される毎日のなかで見過ごしている大事なことに目を向けさせてくれます。辛いことがある一方で、デビッドの可愛い一面に癒されたり、他にも孫と祖母とのやり取りが物語のアクセントとなって、後の展開にも影響してくる構成も見事です。さらに風変わりな地元民ポールの存在もスパイスになっていて、見知らぬ土地にやってきて地元に馴染めないでいるジェイコブ一家と、地元では浮いた存在になっているポールとの関係性にも、私達の身近にある人間関係がリアルに投影されていて、本当の意味で自分達の棲み家を見つけてそこに根づくまでの難しさを表現しています。生きていれば良いことも悪いこともあるけれど、家族がいることの大切さ、家族がいることで頑張れるということを実感させてくれる本作。絶望だけで終わらないストーリーは、今の時代の私達にエールをくれます。

デート向き映画判定
映画『ミナリ』スティーヴン・ユァン

大人カップルには特にデートでもぜひ観て欲しい一作です。恋人として付き合っているうちは気楽でも、家族としてずっとこの先も生活を共にするとなると、話は別。ジェイコブとモニカのやり取りはすごくリアルで、今後一緒に住もうとしているカップルや結婚を考えているカップルには参考になる部分があるでしょう。あとはジェイコブを『ウォーキング・デッド(以下、TWD)』で人気を博したスティーヴン・ユァンが演じているので、TWDファンのカップルにもオススメです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ミナリ』スティーヴン・ユァン

主人公一家の日常が淡々と描かれていくなかにドラマチックな面が見える作品なので、どちらかというと大人向けの作品です。ただティーンなら自分の家族を一歩引いて見ることも増えてくると思うので、他の家族ってどんなのかなと思いながら観ると、いろいろと気付くこともあるでしょう。大人とは違う目線で、自由に観てみてください。

映画『ミナリ』スティーヴン・ユァン/ハン・イェリ/アラン・キム/ネイル・ケイト・チョー/ユン・ヨジョン/ウィル・パットン

『ミナリ』
2021年3月19日より全国公開
ギャガ
公式サイト

©2020 A24 DISTRIBUTION LCC.ALL Right Reserved

TEXT by Myson

関連記事

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ザ・ハウスメAIド 』ミーガン・フォックス ザ・ハウスメAIド <服従>【レビュー】

性能の高いフィジカルAIが続々と誕生している昨今、本作のストーリーは一層現実性を帯びてみえます…

映画『BOSS/ボス』チョ・ウジン/チョン・ギョンホ/パク・ジファン BOSS/ボス【レビュー】

ボスの座を争う話は数あれど、本作はどうしたらボスにならずに済むかというストーリーで…

映画『進行曲 マーチングボーイズ』ムー・セン(牧森) 進行曲 マーチングボーイズ【レビュー】

台湾屈指の進学校でマーチングバンド部に所属する男子高校生を主人公とした本作は、実話に基づいています…

映画『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』リズワーン・シェイク 『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』特別試写会 10名様ご招待

映画『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』特別試写会 10名様ご招待

映画『うるわしの宵の月』道枝駿佑/安斉星来 うるわしの宵の月【レビュー】

なんとも初々しく、キュンキュンさせられて、観ているだけで20歳くらい若返りました(笑)…

映画『ナギダイアリー』石橋静河 石橋静河【ギャラリー/出演作一覧】

1994年7月8日生まれ。東京都出身。

映画『真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜』ユアン・ホロックス 『真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜』【レビュー】

本作は、ナチス政権に言論の力で対抗した少年ヘルムス・ヒューベナーの実話を基にしています…

映画『ストリートファイター/ザ・ムービー』ノア・センティネオ/アンドリュー・小路 ストリートファイター/ザ・ムービー【レビュー】

原作のゲームに詳しくないとしても一度でもゲームをやったことがある方なら、本作を観れば懐かしさを感じられるでしょう…

映画『シャイロックの子供たち』木南晴夏 木南晴夏【ギャラリー/出演作一覧】

1985年8月9日生まれ。大阪府出身。

映画『クジラに落ちた男』オースティン・エイブラムス クジラに落ちた男【レビュー】

クジラに落ちた男』というタイトルが示す通り、内容はイメージしやすい一方で、クジラの中に閉じ込められている状況でどんなストーリーが展開するのかは想像を超えています…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』トム・クルーズ/ブラッド・ピット あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

世界的な超トップスター、トム・クルーズとブラッド・ピットが共演した奇跡の作品『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のパッケージリリースを機に、当部恒例企画「勝手にキャスティング企画!」を実施。

【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集! 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!

Season2では、比喩的思考、批判的思考、論理的思考を軸として、「思考力を鍛える映画鑑賞の仕組み」を探求するスタンスで一連の流れを意識して構成しています。 とはいえ、毎回冒頭で前回までの振り返りを簡単にしますので、好きな回だけ単発で参加いただいてもOKです。映画に関する雑談も含めて一緒に楽しみましょう!

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ 映画好きが選んだアン・ハサウェイ人気作品ランキング

今回は、アン・ハサウェイ出演作品(日本劇場未公開作品と直近の劇場公開作品を除く)を対象に、正式部員…

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミSeason2 第1回】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求①オリエンテーション」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『ザ・ハウスメAIド 』ミーガン・フォックス
  2. 映画『BOSS/ボス』チョ・ウジン/チョン・ギョンホ/パク・ジファン
  3. 映画『進行曲 マーチングボーイズ』ムー・セン(牧森)
  4. 映画『うるわしの宵の月』道枝駿佑/安斉星来
  5. 映画『真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜』ユアン・ホロックス

PRESENT

  1. 映画『55 FIFTY FIVE/番号で呼ばれた少年』リズワーン・シェイク
  2. 映画『ムクドリと人生とレモンパスタ』アルバ・ロルヴァケル/エリオ・ジェルマーノ
  3. 映画『君の話』北村匠海/出口夏希
PAGE TOP