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地下室のヘンな穴【レビュー】

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映画『地下室のヘンな穴』レア・ドリュッケール

物語は、中年夫婦のアラン(アラン・シャバ)とマリー(レア・ドリュッケール)が新居探しをしているところから始まります。不動産業者は、2人に“中に入り12時間経つと3日分若返る”奇妙な穴のある物件を紹介します。ここからは本編を観ていただくとして、不動産業者は見るからに怪しく、穴も怖いので、正直自分だったらこの物件は購入しないだろうなと思います(笑)。でも、その奇妙な穴こそ本作のキーポイントで、物件を購入した夫婦にどんな変化が訪れるのかが見どころとなっています。
また、アランとマリー以外にもう1組カップルが登場し、大人のドロドロとした欲望や衝動がさらに露呈していきます。「もっとこうなりたい」という欲望はどんな人にでもありますし、大人なら特に共感できる部分が多いと思います。欲望の沼に落ちていく大人達を演じたアラン・シャバ、レア・ドリュッケール、ブノワ・マジメル、アナイス・ドゥムースティエらの演技も魅力的で、それぞれの活躍にも注目です。
上映時間は74分と短めで、その中でこれだけ奧の深い物語を描いたカンタン・デュピュー監督の手腕も感じられます。ホラー的な怖さはないものの、ある意味現実的で背筋がゾッとする物語です。ちょっと奇妙だけどリアルな世界観を皆さんも体感してみてください。

デート向き映画判定
映画『地下室のヘンな穴』アラン・シャバ/ブノワ・マジメル/アナイス・ドゥムースティエ

中年夫婦が主人公の物語なので、同世代の夫婦やカップルには特に観て欲しい作品です。本作に登場する夫婦を客観的に観ることで、お互いの愛情の深さや考え方の違いなどが見えてきます。鑑賞後は、これを機にお互いの夫婦観について話し合うのもオススメです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『地下室のヘンな穴』

大人達のドロドロとした感情は、キッズには理解しづらいと思うので、せめて中学生くらいになってから観てください。ティーンの場合は、それぞれのキャラクターがどんな問題を抱えているのか観察しながら観つつ、本作の大人達のように欲望をエスカレートさせないためには、感情とどう向き合うべきか、自分なりに考えて欲しいと思います。

映画『地下室のヘンな穴』アラン・シャバ/レア・ドリュッケール/ブノワ・マジメル/アナイス・ドゥムースティエ

『地下室のヘンな穴』
2022年9月2日より全国公開
ロングライド
公式サイト

© ATELIER DE PRODUCTION – ARTE FRANCE CINÉMA – VERSUS PRODUCTION – 2022

TEXT by Shamy

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