REVIEW

ハッチング―孵化―【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ハッチング―孵化―』シーリ・ソラリンナ

かなり独創的で、いろいろな意味での気持ち悪さと怖さが絶妙です。物語の舞台はフィンランド、幸せを絵に描いたような一家の長女ティンヤが主人公です。12歳のティンヤは体操競技に励んでいて、母は“幸せな家族”の様子と体操競技で活躍する娘の姿などを撮影し、ネットの自分のチャンネルで配信することに夢中になっています。そんなある日、ティンヤは森で鳥の卵を見つけて持ち帰り、こっそり卵を温めます。すると卵が孵化して…というお話なのですが、ここからは何も知らずに観るほうがおもしろいので伏せておきます。
森で見つけた卵を大事に温めていたら孵化したというところだけ聞くと、何となくかわいらしいファンタジーを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、とんでもありません(笑)。「それは無理無理無理無理無理!」という気持ち悪さ全開のシーンが満載です。そして、怖いのは人間です。いろいろな人物の恐ろしい一面が見えてくるのでそこも楽しみにしていてください。
また、とても現実的な描写と非現実な設定がとてもバランス良く入り混じっている点で、孵化した鳥がどんな展開に繋がるのか予測できないおもしろさがあります。北欧独特の雰囲気や邸宅の風景が美しいからこそ、気持ち悪さも映えて見えるというところも魅力です。これは映画好きにぜひ観て欲しい1作です。

デート向き映画判定
シーリ・ソラリンナ/ソフィア・ヘイッキラ/ヤニ・ヴォラネン

ロマンチックなムードになるどころか、一部のカップルが辿る可能性がある絶望的な未来が描かれている点ではデート向きとはいえません。ただ、それを反面教師として観られる余裕があるカップルは、クセの強い本作を純粋に楽しめると思います。観終わった後はいろいろ話したくなる内容という意味では、会話が弾むと期待できるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ハッチング―孵化―』シーリ・ソラリンナ

12歳のティンヤと母親の奇妙な関係が印象に残る作品です。PG-12なので大人と一緒なら観られますが、本作を親子で観るとどんな雰囲気になるのか想像がつきません(苦笑)。でも、きっと子どもよりも大人のほうがドギマギするでしょう。いつも良い子にしていて、そこに息苦しさを感じている方は、敢えて親と一緒に観ると、無言のメッセージを届けられる部分はあると思います。

映画『ハッチング―孵化―』シーリ・ソラリンナ

『ハッチング―孵化―』
2022年4月15日より全国順次公開
PG-12
ギャガ
公式サイト

© 2021 Silva Mysterium, Hobab, Film i Väst

TEXT by Myson

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ モンテ・クリスト伯【レビュー】

アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作小説「巌窟王」を映画化した本作は…

映画『秒速5センチメートル』松村北斗 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年10月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年10月】のアクセスランキングを発表!

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一 旅と日々【レビュー】

つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化…

映画『風のマジム』肥後克広 肥後克広【ギャラリー/出演作一覧】

1963年3月15日生まれ。沖縄県出身。

【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】羽佐間道夫、山寺宏一ほか 人気声優達が真剣勝負!会場が終始笑いに包まれた【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】本番リポート

発起人である羽佐間道夫のもと、山寺宏一、林原めぐみほか錚々たる人気声優達がズラリと顔を揃えたライブは今年で20周年を迎えました…

映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。【レビュー】

物語の始まりは、1995年の韓国、テグ。学校でいじめられていたドンジュン…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  2. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー
  3. 映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング
  4. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  5. 映画『秒速5センチメートル』松村北斗

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP