映画業界人インタビューVol.2 DVD&動画配信でーた 編集部 西川亮さん【前編】
Category : 映画業界人インタビュー , 大学生・専門学校生
お待たせしました、【映画業界の方にインタビュー】第2弾!今回のインタビューは、エージェントのおこめとパン、染井が担当です。
アメリカで映画制作を勉強し、就職・転職でやりたいことに辿り着いた
おこめとパン:この業界に入ろうと思ったきっかけと、どういう経緯で今のお仕事に就いたかを教えてください。
西川さん:小学校くらいから映画が好きで、映画の仕事をしたいなと思っていました。大学を卒業してから、映画を作りたいなと思った時期があって、ハリウッド映画が元々すごく好きだったこともあり、作る勉強をしがてら英語の勉強もできるので、アメリカに留学しました。映画学部が全米でも人気上位の、“ロサンゼルス・シティー・カレッジ”に通いました。コミュニティ・カレッジなので、入学するのもそんなに難しくなく、授業料もそれほど高くないところでした。2年くらいいたと思います。
そこで映画の歴史の勉強や撮影の仕方、脚本をどうやって書くか等、いろんなことを勉強しました。そうしているうちに、「実は自分って作りたいんじゃなくて、完成した作品を観て、それに対して何かをしたい人なんじゃないかな」って思って。もちろん、そのまま制作のほうに進むっていう道もありました。僕の友達でも今まさにその道に進んで、メジャーな作品を監督してる人もいたりします。でも僕は、マスコミ、メディアとか、そういった方向なんじゃないかと。アメリカだとなかなか働き口もないので一旦日本に帰ろうと思い、3年くらいアメリカで過ごして帰って来ました。
それから、どうやれば映画業界に入れるかわからないまま、とりあえず片っ端から当たっていきました。そして、まずポストプロダクションの会社の営業として業界に入りました。営業職なので、自分で手を動かすというわけではなく、主に制作進行をしていました。お客さんから受注した内容を、編集マンに伝えて、DVDを作る仕事です。それを2年くらいやっていたんですけど、「もうちょっと本とかマスコミ系の仕事をしたいな」って思っていた時に、たまたま見つけたのが、DVDレンタル店向けの販促物を作る会社でした。そこに5年ほど務めた後、今の仕事に転職しました。
局長:大学を卒業してからすぐに就職せず、アメリカに行くと決めていたんですか?
西川さん:いえ、大学3、4年の頃に、ある程度の就職活動はしてみたんですよ。普通の企業とか、あとちょっと映像関係とか。もちろん落ちたっていうのもあるんですが、何かイマイチしっくりこないという感じもあって。もうちょっとモラトリアム期間が欲しいなと思い、留学しました。
局長:じゃあアメリカに行っている時は、もしかしたらそのままアメリカで勤められたらいいなと思っていましたか?
西川さん:そうですね。でも、なかなかそんなに上手くはいかないですよ。やっぱり人種、言葉の壁というものがすごくあるので、例えば同じくらいの才能の人が2人いたら、アメリカ人のネイティブ、つまり言葉の壁が全くない人が採用されることが多いのが現実です。アメリカに留学した人って、大体そういった経緯を踏んで帰ってくる人が多い気がします。向こうで成功する人は、ほんの一握りだと思います。
映画をいっぱい観てると、映画好きとすぐ仲良くなれる
おこめとパン:では、学生の頃のお話について教えてください。私達のように映画業界に入りたいと思っている学生が今やっておくべきことというか、学生の頃にやっていて今のお仕事に役に立っていることはありますか?
西川さん:僕は学生の頃、本当に何もやっていなくて、ひたすら映画を観ていたように思います。周りから見ると結構オタクだし、ダメなほうの学生だったと思うんですよ。成績も悪かったし。でもそれを続けて、その頃に有り余る時間を使って映画をいっぱい観たことによって、知識など蓄えられたものがあります。それって、今から頑張って蓄えようと思ってもたぶん無理なことなので、一見無駄そうなことでもコツコツと、地道に続けることって、わりと重要なのかなって、ここ最近で思うようになりました。当時はバカにされるまではいかないですけど、周りに理解されないこともありました。でも、結果的に今自分が幸せにこういう仕事をできているっていうことは、無駄じゃなかったのかなと思います。
局長:1年で何百本観ているとしたら、すごい差がつきますもんね。
西川さん:そうですね。その頃に観て衝撃を受けた映画とか、当時の感覚がのちのち人格形成に影響を及ぼすというか。僕は学生の頃、B級も含めてホラー映画ばっかり観ていたので、そういう人間になっちゃいますよね(笑)。
一同:あはははは(笑)。
西川さん:でもやっぱり、この業界で働いている人って少なからずそういう人たちが多いので、仲良くなるきっかけにもなったりします。「学生の頃に映画ばっかり観てて、こういう映画観てたんだけどね」って言うと、「ああ、俺も」みたいな。そういう仲間意識が芽生えたりするんです(笑)。
毎年、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭というのがあって、映画祭自体は日中、夕方くらいまでやっていますけど、その後にマスコミも演者も監督も皆、その辺りの地元の居酒屋に集って、映画談義に花を咲かせるんです。すごくアットホームな良い映画祭なんですけど、そこで「俺、実は学生の頃からブライアン・デ・パルマがすごい好きで」って言うと、「きた!!」みたいに意気投合して、「デ・パルマ・ベストムービーは何だ?」みたいな話で盛り上がったりとか(笑)。で、「俺、シュワルツェネガーが好きなんですよね」って言ったら、「俺はスタローンだわ」とか言って、シュワVSスタローンの討論が始まったり、そうやってすごく仲良くなります。映画祭に限らずですが、至る所でそういうことが繰り広げられていると思います(笑)。皆それぞれ偏った映画愛みたいなものがあって、この業界に入って来てるんだなって感じますね。
今回の記事担当:おこめとパン
■取材しての感想
インタビューをさせて頂いて、ご自身がなさってきたことすべてが現在に通じていることに、素直に「すごい」という気持ちでした。外に飛び出して好きなことに食らいついていく、この姿勢は少なからず勇気が必要だと思います。けれど、「やってみたいけどいいのかな?」と迷っている学生には、西川さんのこれまでのお話が原動力になると思います。もちろん、私もその1人です!好きなことが洗練されて、本当にやりたいことを掴めるよう、私も諦めずにコツコツと努力し続けます!
取材日:2018年5月16日
西川さんのインタビューは、2回に渡ってお届けしますので、続きもお楽しみに。→【後編を読む】
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発行:株式会社ムービーウォーカー
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