REVIEW

J005311【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『J005311』野村一瑛

本作は、俳優の河野宏紀が独学で初監督を務め、第44回ぴあフィルムフェスティバルグランプリを受賞した話題作です。主人公の神崎を新人俳優の野村一瑛が演じ、ひったくりをしている山本を河野宏紀が監督と兼任して演じています。主な登場人物はこの2人のみで、物語は神崎が山本に100万円を渡す代わりに車である場所へ送って欲しいと依頼するところから始まります。
最初は神崎が何をしようとしているのかわからず、観ている側も山本と同じ視点で神崎の人物像を探ることになります。一方山本も街でひったくりをしているような決して素行の良い人物ではなく、この2人が交流することでどんな化学反応を起こすのかが見どころとなっています。
各人物の背景が描かれているシーンはなく、路上や車内での会話から、緊張した空気感がとてもリアルに伝わってきます。本作の公式資料によると、ほぼすべてのシーンが無許可撮影だったことから警察に捕まるリスクなども追いながらの撮影だったそうで、映像からその臨場感も伝わってきます。神崎と山本がそれぞれ感じている孤独は大人なら共感できますし、彼らの孤独の背景にある社会問題についても考えるきっかけになると思います。

デート向き映画判定
映画『J005311』野村一瑛/河野宏紀

恋愛要素はなく、ムードを盛り上げるタイプの作品ではありません。2人の男性の心の交流が描かれており、気まずいシーンはないので、そういう意味ではデートでも観やすいと思います。もし主人公の神崎と同じように何か悩みを抱えている場合は、これを機にパートナーに話してみるのもアリです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『J005311』河野宏紀

皆さんが純粋に本作を観てどんな感想を持つのか気になります。最初はわからない点も多いので、神崎と山本がそれぞれどんな人物なのか観察して、2人の背景を想像してみてください。2人の関係には友情とは違う独特な空気感があり、観ているとハラハラする場面もあります。もし自分だったらどうするか想像しながら観てみてください。

映画『J005311』野村一瑛

『J005311』
2023年4月22日より全国順次公開
太秦
公式サイト

© 2022『J005311』製作委員会(キングレコード、PFF)

TEXT by Shamy

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ モンテ・クリスト伯【レビュー】

アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作小説「巌窟王」を映画化した本作は…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  2. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  3. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  4. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  5. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP