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死ねばいいのに【レビュー】

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映画『死ねばいいのに』奈緒

REVIEW

観ているそばから圧倒されつつ、結末で一層圧倒されます。まずは原作者、京極夏彦が生み出したストーリーによる、思考の具現化のレベルの高さに衝撃を受けます。そして、観ていただくとわかりますが、この構造を映像で表現するのは大変難しいはずです。それを演技で表現した、奈緒と伊東蒼に拍手を贈ります。

映画『死ねばいいのに』奈緒/伊東蒼

キャラクターの対話と各々の反応が、現代社会の実態を表すメタファーとして見事に機能しています。だから、観ている側としては、脳が活性化され、ドーパミンが一気に放出される感覚を味わえます。そして、畳みかけるように、点と点が繋がって線となっては、別の問いが湧いてくるので、知的好奇心への刺激がたまりません。

映画『死ねばいいのに』奈緒/草川拓弥

本作を観ながら浮かんできた思考を捕まえておきたくもなるので、良い意味で大変忙しい感覚になります。だから、このタイプの映画が好きな方は何度でも観たくなるでしょう。皆さんも存分に“思考体験”ができるように、具体的な内容は書かないとして、以下に私なりの解釈を書きます。

以下はあくまで私の解釈です。読む方によってはネタバレと感じる内容が含まれるため、観終わってからお読みいただくことを推奨します。

映画『死ねばいいのに』奈緒

まず印象的なのは「誰の話をしているのか」という問いが常に置かれている点です。この問いは、人がどれだけ自分をわかっているか、他者をわかっているか、自分と他者を分けられているかに目を向けさせます。「〇〇の話を聞かせてください」と言われているのに自分の話をして言い訳を並べたり、「あなたの話をしてください」と言われているのに誰かの話をして責任転嫁をしたり、あまりによくある光景にハッとさせられます。

映画『死ねばいいのに』奈緒

そして、このストーリーは、ウェルビーイングの残酷さを突きつけます。幸せになったほうがよいという考え方は誰にでも当たり前のようでいて、時に暴力的であると気づかされます。幸せかどうかを問われる、もしくは他者に勝手に判定された側からすれば、その度に幸せに届かない絶望を背負わされる。つまり、幸せのものさしを勝手に渡されて、自分の人生がそのものさしで測れる幸せにそぐわないという意識を植え付けられると、逃げ場がなくなる。そうした状況を、悪意がなくても生み出している可能性を突きつけられた気がします。

映画『死ねばいいのに』奈緒/前原滉

物理的には生きているけれど、心は既に死んでいて、現実に麻痺することで何とか呼吸している人がいる実態にも改めて気づかされます。大変気づきが多いので、鑑賞をオススメしたい一方で、心身が弱っている際には反応が読めないので、タイミングに注意してご覧ください。

デート向き映画判定

映画『死ねばいいのに』前原滉

自分の深い部分に入っていく感覚を味わえる作品なので、1人でじっくり観るか、本音で話せる仲の良い相手と観ると良いでしょう。パートナーが何でも話せる相手なら、一緒に観るのも良さそうですが、初デートや交際がまだ浅いうちは鑑賞後に何を話せば良いのか迷いそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『死ねばいいのに』伊東蒼

PG-12やR指定に分類されてはいないものの、内容としては大人向けであり、捉え方に注意が必要です。特に精神的に不安定な場合は注意が必要です。何歳になったら良いというわけではないものの、映画は映画として分けて考えられる状況で観て欲しいです。ストーリーから得られるものは多いと思うので、心身ともに健康な時に観て、いろいろと感じ取ってください。

映画『死ねばいいのに』奈緒

『死ねばいいのに』
2026年7月3日より全国公開
S・D・P
公式サイト

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© 京極夏彦/2026映画「死ねばいいのに」製作委員会

TEXT by Myson

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