REVIEW

Mank/マンク

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『Mank/マンク』ゲイリー・オールドマン/アマンダ・セイフライド

1930年代から1940年代、ハリウッド黄金期と呼ばれる時代に、映画界では何が起きていたのか。本作は、アルコール依存症の脚本家ハーマン・J・マンキウィッツと、彼が脚本を書いた『市民ケーン』にまつわる実話に基づき、1930年代の映画界、財界、政界の繋がりを映し出しています。『市民ケーン』は当時の財界の超大物、ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルにしていることで、物議を醸しました。そのため、劇場公開に漕ぎ着けるまでにさまざまな困難が立ちはだかりました。また、本作はハリウッド黄金期を代表する俳優オーソン・ウェルズが主演、監督を務めた映画で、脚本も表向きはオーソン・ウェルズが書いているということになっていました。マンクことハーマン・J・マンキウィッツ(ゲイリー・オールドマン)は、始め自分の名前をクレジットに入れないという条件で仕事を引き受けていましたが後に撤回。その後、表向きはオーソン・ウェルズと共同脚本となっていますが、実質はマンクが1人で書き上げたものだということも、本作で語られています。
こういった背景もとてもドラマチックですが、1番の見どころはマンクがどれだけ“筆”、つまりストーリーを書くことで社会と闘ってきたのかという点にあります。『市民ケーン』は今でも不朽の名作として親しまれ続けていますが、今では評価されている作品でも、マンクのような人達が自分の身を削り、自分の人生や生活を失う恐れのあるなかで挑戦してきたからこそ、この世に誕生してきたんですね。それを思うと、映画の価値を改めて実感させられます。全編モノクロで当時の映画を再現しているような作りにもすごくこだわりが見えて、デヴィッド・フィンチャー監督、ゲイリー・オールドマンなど、現代の映画人達の映画愛もヒシヒシと伝わってきます。万人向けの映画とは言い難いですが、映画好きにはぜひ観て欲しい1作です。予め映画『市民ケーン』を観ておくと、話についていきやすいので、予習をオススメします。

デート向き映画判定
Netflix映画『Mank/マンク』ゲイリー・オールドマン/アマンダ・セイフライド

マンクと妻の関係も本作の見どころの1つで、奥さんの内助の功が素晴らしいです。夫の1番の理解者であり、縁の下の力持ちで、彼女がいたからこそ、彼は仕事を全うできたと思えます。奥さんはすごくいろいろなことを我慢して、目をつむってきたと思いますが、誰と一緒になれば幸せかは人それぞれ違うということの1つの例として観るのも良いと思います。そういう意味では、ウィリアム・ランドルフ・ハーストの愛人マリオン・デイヴィス(アマンダ・セイフライド)も別の例として観ることができそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『Mank/マンク』ゲイリー・オールドマン

本作は15歳未満の未成年の視聴を推奨しないとされているので、せめて高校生になってから観ると良いですが、2時間を超える上映時間と、全編モノクロというところで、映画を観慣れてないティーンの皆さんにとっては、ちょっとハードルが高いのではと思います。映画をたくさん観て、映画史にも興味が出てきてから観たほうが、一層感動も増すと思うので、純粋に自分で観てみたいと思ったタイミングで観てください。映画作りに興味のあるティーンの皆さんは、逆に良い刺激を得られると思うので、チャレンジしてみても良いのでないでしょうか。

Netflix映画『Mank/マンク』ゲイリー・オールドマン/アマンダ・セイフライド/リリー・コリンズ/チャールズ・ダンス/タペンス・ミドルトン/トム・ペルフリー/トム・バーク

『Mank/マンク』
2020年12月4日よりNetflixにて配信中/11月20日より劇場公開
公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『Mr.ノボカイン』ジャック・クエイド Mr.ノボカイン【レビュー】

痛みを感じない疾患を持つ主人公、ネイサン・カイン(ジャック・クエイド)は…

映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン 罪人たち【レビュー】

ライアン・クーグラー監督と、マイケル・B・ジョーダンの名コンビが贈る本作は、まず設定がとても…

映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム おばあちゃんと僕の約束【レビュー】

『バッド・ジーニアス危険な天才たち』など数々の話題作を放ち、タイで勢いのあるスタジオとして注目を浴びるGDHが手がけた本作は…

映画『異端者の家』ソフィー・サッチャー ソフィー・サッチャー【ギャラリー/出演作一覧】

2000年10月18日生まれ。アメリカ、シカゴ出身。

映画『リライト』池田エライザ リライト【レビュー】

法条遥による同名小説を映画化した本作は、松居大悟監督とヨーロッパ企画の代表である上田誠が初タッグを組んだ作品です。“時間もの”作品で…

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット 親友らしい態度とは?『親友かよ』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は『親友かよ』を取り上げ、親友らしい態度とは何かを考えます。

映画『サブスタンス』マーガレット・クアリー マーガレット・クアリー【ギャラリー/出演作一覧】

1994年10月23日生まれ。アメリカ出身。

映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李 フロントライン【レビュー】

2020年1月20日に横浜港を出港した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号では、その後、香港で下船した乗客が新型コロナウイルス感染症に罹患していることがわかり…

映画『プレデター:最凶頂上決戦』 プレデター:最凶頂上決戦【レビュー】

アニメーションとはいえ、さすが“プレデター”シリーズとあって、描写が激しく…

映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』綱啓永 綱啓永【ギャラリー/出演作一覧】

1998年12月24日生まれ。千葉県出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット
  2. 映画『年少日記』
  3. 映画『か「」く「」し「」ご「」と「』奥平大兼/出口夏希/佐野晶哉(Aぇ! group)/菊池日菜子/早瀬憩

REVIEW

  1. 映画『Mr.ノボカイン』ジャック・クエイド
  2. 映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン
  3. 映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム
  4. 映画『リライト』池田エライザ
  5. 映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李

PRESENT

  1. 映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人
  2. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  3. 中国ドラマ『墨雨雲間〜美しき復讐〜』オリジナルQUOカード
PAGE TOP