REVIEW
タイトルについている「廃用身」は、「麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと」を指しています。映像化は絶対に不可能といわれていた、久坂部羊による原作は、「外務省医務官を経て、在宅訪問医として終末医療の最前線に立ち続けてきた著者自身の経験から生まれた」とされています。(映画公式サイト)

上記の情報から想像できる部分もあれば、逆に「まさか、“そこまで”はしないだろう」と思う部分の両方があるでしょう。ただ、どういう予想をしたとしても、戦慄が走るストーリーです。そして、私は毎度のように前情報を極力入れずに観たので、このレビューを書く段になって初めて、原作者の久坂部羊氏の経歴を知り、衝撃が増しました。劇中の出来事が現実という意味ではないものの、著者自身の経験に基づいているとなると、ストーリーに現実性が一層増すので、さまざまな意味で怖さも増して感じます。

前半と後半が対照的な構成も見事です。前半を観ているうちは、劇中で起こる突飛な様子に何だか“説得”されてしまいそうになるものの、後半を観ていくうちに、知らぬ間に狂気的な世界にいってしまった自分の思考が正気に戻される感覚を味わいます。

言葉を失う衝撃的な結末が待っている一方で、白黒では決着がつけられない部分も残されていて、最後は観ている側に答えを委ねられます。高齢化社会の問題の深刻さをまざまざと突きつけられる作品です。目を逸らさずにご覧ください。
デート向き映画判定

主軸ではないものの、主人公の漆原院長(染谷将太)と、漆原菊子(瀧内公美)の夫婦の静かなやり取りも印象に残ります。漆原院長の医療行為の根底にあるものは、善意なのか、好奇心なのか、何らかの執着なのか、本人にも他者にもわからない状況に思えます。全く同じではなくとも、パートナーが難しい状況に置かれている時、自分ならどうするかを考えるきっかけになります。何でも話せるカップルならデートで観るのもアリかもしれないものの、1人でじっくり観るほうが向いているでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

PG-12なので大人が一緒なら12歳以下でも観られるとはいえ、衝撃的な内容であり、さまざまな背景を想像しながら観て欲しい内容なので、せめて中学生くらいになってから観るほうが良さそうです。正解はない問題がテーマに掲げられているので、他の人とも話し合い、深く考えるきっかけにしてもらえると嬉しいです。

『廃用身』
2026年5月15日より全国公開
PG-12
アークエンタテインメント
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2026年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。






























