REVIEW
江戸時代の医療の実態を描いた本作では、それまで主流だった東洋の医療、漢方と、西洋から入ってきた蘭方の医師が登場します。まずは、本作のルーツをご紹介しましょう。
本作は、青春映画から「ゴジラ」シリーズまで多彩な映画を送り出し、映画ファンから慕われた映画監督大森一樹の生前最後の企画の映画化である。医師免許を持つ大森監督が、自身の経験をもとに京都の医大生たちの青春と葛藤を描き出した『ヒポクラテスたち』(80)は、第54回キネマ旬報ベスト・テン日本映画部門第3位を獲得するなど高く評価され、彼の20代での代表作となった。そんな彼が、母校である京都府立医科大学創立 150 周年記念映画として、稲垣浩監督の『ふんどし医者』(60)を原案に、『ヒポクラテスたち』の“元祖たち”を描く幕末の医者たちの物語を企画。しかし撮影準備を進めていたさなか、2022年に急逝してしまう。そしてその遺志は、かつて大森監督の助監督を務めた緒方明が受け継いだ。(映画公式資料)

主人公は、蘭方医の大倉太吉(佐々木蔵之介)です。太吉が住む村には漢方医の玄斎(内藤剛志)がいるものの、どの患者にも葛根湯を処方するだけ。そんななか、太吉は、蘭方の診療で人々を救おうとします。本作は太吉を中心とした日々を、約20年に渡って描き、社会の変化と共に医療の変化を物語っています。

本作を観て印象に残るシーンは、今は当たり前に行われている手術も、昔は手探りで命懸けでやっていたという点です。そして、蘭方医学の発展に必要な解剖についても、手配される背景などに時代を感じます。また、今ほど情報が早く広く伝わらないので、未知の病にかかる患者がいた場合に、多くの犠牲者を出すことになります。そうした状況が本作には描かれていて、改めて、多くの犠牲のもとに今の医療があることに有り難さを感じます。

映画としても、医科大学の記念作品としても、役割を果たす作品となったのは、やはりもともと医学生でもあった大森監督の企画だからこそですね。東洋医学が良い悪い、西洋医学が良い悪いというスタンスではなく、医療の重要性を謳っている作品です。医療の歴史を知る機会としてもお楽しみください。
デート向き映画判定

太吉を支える妻フミ(真木よう子)の存在感もあり、夫婦関係の1つのお手本として観るのもアリでしょう。今の時代に置きかえると、男女がどちらの立場であれ、志高く、社会に貢献しようと励む人と、そばで支えるパートナーのコンビネーションは、観ていて心地良いです。
キッズ&ティーン向き映画判定

本作のタイトルにも入っている“ヒポクラテス”は、「医学の父」「医聖」「疫学の祖」などと呼ばれています(映画公式資料)。本作の劇中では、ヒポクラテスが遺したといわれる言葉も出てくるので、興味を持つ方もいるでしょう。本作を機にヒポクラテスについても調べてみると、世界史も学べて一石二鳥ですね。

『幕末ヒポクラテスたち』
2026年5月8日より全国公開
ギャガ
公式サイト
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©「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会
TEXT by Myson
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情報は2026年5月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。






























