REVIEW
中国で観客約3000万人を動員し、興行収入7億6500万元(約180億円)を突破した本作は、中国の複数の映画祭で受賞したほか、第37回東京国際映画祭で観客賞を受賞しました。
主人公は20歳の青年リウ・チュンホー(ジャクソン・イー)です。物語は、脳性まひのチュンホーがビルの屋上へ上がって行くところから始まります。チュンホーが何か覚悟をしたようにみえた時、祖母のスーチュン(ダイアナ・リン)がチュンホーのもとにやってきます。そうして、2人は一緒の時間を多く過ごすことになります。

チュンホーと母(ジアン・チンチン)、スーチュンと娘(チュンホーの母)は、関係がギクシャクしています。一方で、チュンホーとスーチュンの心の距離は近く、スーチュンとチュンホーはお互いに良き理解者であるように映ります。チュンホーとスーチュンが2人で支え合う姿を観ているだけで、とても癒されます。

チュンホーはさまざまなことに挑戦します。その姿から伝わってくるのは、特別に見られたいわけではなく、“普通の人”として扱われたいという意志です。心に残るセリフが複数あるなかで、一見何気ない行為についてチュンホーが「尊厳」という言葉で表現していたシーンが印象に残りました。そうしたシーンから日常の尊さに気づかされます。ヤン・リーナ監督は本作について以下のように述べていて、まさにその思いが真っ直ぐに伝わってきます。
企画の初期段階から、私たちは脳性まひの当事者やご家族を数多く訪ね、長い時間をかけて話を伺いました。その中で強く感じたのは、皆さんが「特別な存在」として見られたいのではなく、一人の普通の人間として社会の中で生きていきたいと願っていることでした。だから『ちっぽけな僕の、おおきな世界』は障がいを描く映画ではなく、一人の青年が家族と向き合い、自分らしく生きようとする物語なのです。(映画公式資料)

ジャクソン・イーの演技にも驚かされます。撮影が始まると、身体の特徴を身につけるだけでは足りないと気づいたそうです。また、「実際に当事者の方々と出会い、一緒に時間を過ごす中で、自分の思い込みがたくさんあったことに気づきました。(中略)『障がいを演じる』のではなく、一人の青年を演じようと考えるようにな」ったと語っています(映画公式資料)。

イーの名演は、クライマックスでチュンホーが語る言葉に一層説得力をもたらしています。うまくいかないこともあれば、うまくいくこともある。本作は何があっても懸命に生きる人皆に通じる物語です。心をほぐしたい方、勇気をチャージしたい方にオススメの1作です。
デート向き映画判定

人生観に良い刺激をもたらしてくれる作品です。まだ交際期間が短く、これからお互いを知ろうとするカップルなら、お互いの人生観を話すきっかけにできるのではないでしょうか。一方で、恋愛の酸いも甘いも描かれているので、自分のこれまでの恋愛体験に向き合いたい方は、1人でじっくり観るのも良いでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

チュンホーは他者にも自分にも正直に生きています。だから、周囲から何を言われようと自分の意見を伝え、目指す方向に向かって努力します。その姿から勇気をもらえると思います。一方で、そんな強い一面を持つチュンホーでも心が折れそうな時はあります。だから、自分を追い詰めてしまいがちな方も共感できるでしょう。綺麗事ではない奮闘が描かれているので、同志のような感覚で前を向くきっかけをもらえるかもしれません。

『ちっぽけな僕の、おおきな世界』
2026年11月6日より全国順次公開
リアリーライクフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2026年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。




























