REVIEW

あのこは貴族

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『あのこは貴族』門脇麦/水原希子

上流階級者と一般庶民、東京と地方、男性と女性といった対比が絡み合う現代社会の構造を巧みに映し出した物語。決してどちらかだけを肯定するわけではなく、さまざまな視点から人間の生き方のバリエーションを描いている点で好感が持てます。老若男女問わず関心のあるテーマを扱っていて観る人によってフォーカスする部分が違ってくると思いますが、女性キャラクターが多く登場する分、女性は特に共感できる作品となっています。とはいえ、ただ無駄に平和的に描いているというのでもなく、観る者の心をざわつかせる展開も豊富です。私達の身近にあるような出来事を描いているので、改めて私達が置かれている現状を目の当たりにし、食い物にされるのは女性、耐えるのは女性、合わせるのは女性なのかと悶々とさせられますが、そんななかでさまざまなタイプの女性達がどんな決断をしていくのかが見どころで、最後は清々しい気持ちになれます。そして、どちらかに生まれついてもどちらかを選ぶ必要はないというメッセージも受け取れて、どんな人が観ても希望を持てると思います。
キャスティングもすごくハマっていて、門脇麦、水原希子、高良健吾、石橋静香の演技も見ものです。語りたくなるテーマがいくつもあるので、ぜひ友達と観ていろいろと語ってください。

デート向き映画判定
映画『あのこは貴族』門脇麦/高良健吾

先祖代々受け継がれてきたものを守るために育てられ、結婚し、家業を継ぐという生き方をせざるを得ない人、その大切さをわかっていながらも違和感を感じている人の事例が描かれています。これに近いカップルが観るとかなり気持ちが揺さぶられると思うので、何かしらの影響を受ける可能性を踏まえた上で観ましょう。内容的にはカップルで観るよりも仲の良い友達同士で観るのがオススメの映画です。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『あのこは貴族』水原希子

キッズにはまだピンとこないと思いますが、中高生、大学生なら今のうちに本作を観ておくと、自分の価値観を探る良い参考になると思います。今は親の判断が大きく影響する時期だと思いますが、大人になってからどういう選択をするかは、自分自身にかかっています。がんじがらめな状況の人もいるかもしれませんが、流れに身を任せるので良いのか、はたまた自分の道を突き進みたいのか、今から考えておくのは大切だと思います。

映画『あのこは貴族』門脇麦/水原希子

『あのこは貴族』
2021年2月26日より全国公開
東京テアトル、バンダイナムコアーツ
公式サイト

©山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ モンテ・クリスト伯【レビュー】

アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作小説「巌窟王」を映画化した本作は…

映画『秒速5センチメートル』松村北斗 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年10月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年10月】のアクセスランキングを発表!

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一 旅と日々【レビュー】

つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化…

映画『風のマジム』肥後克広 肥後克広【ギャラリー/出演作一覧】

1963年3月15日生まれ。沖縄県出身。

【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】羽佐間道夫、山寺宏一ほか 人気声優達が真剣勝負!会場が終始笑いに包まれた【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】本番リポート

発起人である羽佐間道夫のもと、山寺宏一、林原めぐみほか錚々たる人気声優達がズラリと顔を揃えたライブは今年で20周年を迎えました…

映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。【レビュー】

物語の始まりは、1995年の韓国、テグ。学校でいじめられていたドンジュン…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  2. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー
  3. 映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング
  4. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  5. 映画『秒速5センチメートル』松村北斗

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP