REVIEW
『ハムネット』という響きから、もしかしてあの名作に何らかの関係があるのかもしれないと思いながらも、クロエ・ジャオ監督、ジェシー・バックリー、ポール・メスカル、エミリー・ワトソン、ジョー・アルウィンが出演、スティーヴン・スピルバーグとサム・メンデスが製作を務めているというだけで観る理由は充分なので、毎度のように前情報を入れずに観ました。

本作は、ジェシー・バックリーが演じるアグネスの視点で描かれているので、ポール・メスカルが演じているのが誰なのかをあまり気にせずに観たほうが、彼女の心情に寄り添える気がします。森を愛し、自然と共に生きている姿が印象的なアグネスは、まるで人間の姿をした妖精のようです。だから、本作はまるでおとぎ話のような魅力があります。同時に、この独特な世界観だからこそ、歴史上の人物の伝記に括られない唯一無二の作品となっています。

アグネスが本当にスピリチュアルな力を持っているのかどうかはさておき、彼女とウィリアムは自ずと周囲からは浮いた存在になります。それは彼等にとって苦境にも見えつつ、選ばれし者の運命のようでもあります。そして、華々しいサクセスストーリーの部分ではなく、苦境に立たされた家族の日常を生々しく描いているので、夫が誰であろうと、この状況ならアグネスの反応もやむなしと思えます。

ただ、アグネスとウィリアムで苦悩の耐え方は異なるものの、クライマックスでは、ようやく2人の心が同じところに行き着き、これこそが芸術が持つ大きな力だと証明されます。だから、ウィリアムの作品は後世に残る名作なのだと実感すると同時に、彼が稀代の戯曲家であるのだと改めて感じます。同時に、こうしたストーリーによる表現は本作の秀逸さを表しているといえます。

前情報を入れずに本作を観ることを推奨したいので、以下は鑑賞後にお読みください。

本作は、マギー・オファーレルが書いた同名の人気小説「ハムネット」の実写映画化です。マギー・オファーレルはクロエ・ジャオ監督と共に脚本も担当しています。そして、本作でジェシー・バックリーはオスカー(主演女優賞)を受賞しました。才能ある女性達が集結して作り上げた本作は、結婚という概念と、社会の中で長らく男性の影でしかないように扱われてきた女性の生命力と母性の物語ともいえます。つまり、本作はウィリアム・シェイクスピア夫妻の物語とされているものの、印象としてはアグネスの生き様を描いた物語です。最初は自然に感情移入するキャラクターの目線で観て、次は別のキャラクターの視点で観るなど、観る度に味わいが変わる作品ではないかと思います。
デート向き映画判定

夫婦の酸いも甘いも描いていて、良いムードをもたらしてくれそうなシーンもあれば、現実的な夫婦の問題を突きつけるシーンもあります。だからこそ、これから長らく人生を共にしたいと考えている相手や、夫婦で一緒に観るのに向いているのではないでしょうか。どうしようもなく辛い出来事に遭った時、心がすれ違うこともあるかもしれません。でも、それぞれのやり方があり、再び心を通わせられる機会を得るカップルもあるのだと希望ももらえます。
キッズ&ティーン向き映画判定

本作では、主人公達の子ども達がキーパーソンとなっているので、彼等の目線で観られる部分も大いにありそうです。
今も色褪せない名作の誕生に関わる存在を知ると、皆さんもこれまで以上に英文学に興味を持てるかもしれません。大人の複雑な心情を描いているので、キッズには少々ハードルが高そうですが、興味を持ったら観てみてください。

『ハムネット』
2026年4月10日より全国公開
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト
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TEXT by Myson
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