REVIEW

90メートル【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂

REVIEW

優しさに溢れていて、素直に観て良かったと思える作品です。ヤングケアラーが主人公ではあるものの、介護の大変さを押し出したストーリーというのではなく、病に伏した母と、介護をする高校生の息子が、不器用ながらそれぞれに思いやる姿を描いています。そして、本作の根底には、中川駿監督自身が30歳の時にお母様を亡くした経験も関わっているそうです。

映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂

大人になってからではありますが、僕もガンを患っていた母を看取った経験があり、終末期の状態やドキュメンタリー内での思春期の母と息子の関係性が、そのまま自分の10代の姿と重なって他人事に思えなかったのです。(映画公式資料)

映画『90メートル』山時聡真

そんな本作の主人公は、高校生の佑(山時聡真)です。佑は、寝たきりとなった母、美咲(菅野美穂)を介護する日々を送っています。進路を決めなければいけない時期とはいえ、介護に疲れ、勉学に励む余裕がない佑は、進学への希望を失い欠けています。でも、そんななか、大きな転機が訪れます。
佑を囲む人間関係としては、美咲の介護に関わる大人達との関係、佑自身の友人達との関係があり、佑が大人の役割を担う時間と子どもでいられる時間の両方を行き来していることがわかります。その割合が前半と後半でどう変わっていくのかが、1つの見どころです。

映画『90メートル』山時聡真/西野七瀬

また、佑と美咲を中心としたストーリーでありながら、彼等を支える介護士や、佑の同級生達の視点も丁寧に描かれていて、さまざまな立場にいる人物の心情を想像することができます。ストーリーが後半にさしかかると、あらゆる場面で佑の本心が表れてくると同時に、美咲や周囲の人達が佑を思いやる気持ちもヒシヒシと伝わってきます。

映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂/西野七瀬

山時聡真、菅野美穂、南琴奈、田中偉登、西野七瀬の演技も見ものです。山時聡真、南琴奈、田中偉登、若手俳優は、10代の繊細な心情を見事に演じていて、今後の活躍にも期待が膨らみます。

映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂

過酷な状況におかれた親子の物語ではあるものの、人の優しさ、温かさに溢れていて、最後はとても清々しい気持ちにさせられる作品です。そして、『90メートル』というタイトルの意味を知った時には、胸が熱くなります。本作は老若男女問わずオススメです。

デート向き映画判定

映画『90メートル』山時聡真/南琴奈

テーマからすると、特別デート向きな作品というわけではないものの、友達以上恋人未満のようにみえる初々しい関係も描かれていて、気になる人と一緒に観ると、心の距離を少し近づけられそうです。自分自身もしくはパートナーが、1人で抱え込んでしまうタイプだったら、本作を観ると客観視できる部分があるので、一緒に観ると気持ちを共有するきっかけにもできるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『90メートル』菅野美穂

皆さんは佑や佑の同級生達の目線で本作を観られると思います。学業、部活、友人関係と、皆さんが身近に感じるテーマが盛り込まれています。表に出さないだけで、本作のキャラクター達が抱えているような悩みを持つ友達がいるかもしれません。そんな時にどうすればよいのか、本作を観ると、いくつかヒントをもらえます。

映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂/南琴奈/田中偉登/西野七瀬

『90メートル』
2026年3月27日より全国公開
クロックワークス
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2026映画『90メートル』製作委員会

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2026年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

トーキョー女子映画部チャンネルpodcast ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】あの映画がおもしろいと思う本当の理由『嵐が丘』『カミング・ホーム』『俺たちのアナコンダ』

ネタバレあり、個人的にツボにハマったポイントを 気楽に話しているので、トークには期待せず(笑)、作品には期待してください。

映画『俺たちのアナコンダ』ジャック・ブラック/ポール・ラッド/スティーヴ・ザーン/タンディウェ・ニュートン/セルトン・メロ 俺たちのアナコンダ【レビュー】

愛しいほどにアホ全開のハッピーなコメディです。ジャック・ブラックとポール・ラッドが主演のコメディといえば…

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『キング・オブ・キングス』 キング・オブ・キングス【レビュー】

チャールズ・ディケンズが、我が子のために書き下ろした“The Life of Our Lord(私たちの主の生涯)”は、没後64年を経た1934年まで出版が許されず、幻の傑作といわれていたようです…

映画『ハウス・オブ・ザ・デビル』 ハウス・オブ・ザ・デビル【レビュー】

本作は、『X エックス』『Pearl パール』『MaXXXine マキシーン』と、A24初のシリーズ化作品となる“Xシリーズ”で一気に注目を集めたタイ・ウェスト監督による2009年の作品です…

映画『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』ダニー・デフェラーリ/ディアナ・アグロン(ダイアナ・アグロン) ディアナ・アグロン【ギャラリー/出演作一覧】

1986年4月30日生まれ。アメリカ、ジョージア州サバンナ出身。

映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂 90メートル【レビュー】

REVIEW優しさに溢れていて、素直に観て良かったと思える作品です。ヤングケアラーが主人公…

映画『空飛ぶペンギン』ジム・キャリー 未公開映画活性課サ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『そして彼女たちは』バベット・ヴェルベーク/エルザ・ウーベン/ジャナイナ・アロワ・フォカン/リュシー・ラリュエル/サミア・イルミ そして彼女たちは【レビュー】

ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督とリュック・ダルデンヌ監督(以下、ダルデンヌ兄弟)が選んだ今回の主人公は、若き母親達です…

映画『全知的な読者の視点から』イ・ミンホ イ・ミンホ【ギャラリー/出演作一覧】

1987年6月22日生まれ。韓国出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『俺たちのアナコンダ』ジャック・ブラック/ポール・ラッド/スティーヴ・ザーン/タンディウェ・ニュートン/セルトン・メロ
  2. 映画『キング・オブ・キングス』
  3. 映画『ハウス・オブ・ザ・デビル』
  4. 映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂
  5. 映画『そして彼女たちは』バベット・ヴェルベーク/エルザ・ウーベン/ジャナイナ・アロワ・フォカン/リュシー・ラリュエル/サミア・イルミ

PRESENT

  1. ドラマ『外道の歌 SEASON2』窪塚洋介/亀梨和也/南沙良
  2. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ
  3. 映画『キング・オブ・キングス』
PAGE TOP