REVIEW
優しさに溢れていて、素直に観て良かったと思える作品です。ヤングケアラーが主人公ではあるものの、介護の大変さを押し出したストーリーというのではなく、病に伏した母と、介護をする高校生の息子が、不器用ながらそれぞれに思いやる姿を描いています。そして、本作の根底には、中川駿監督自身が30歳の時にお母様を亡くした経験も関わっているそうです。

大人になってからではありますが、僕もガンを患っていた母を看取った経験があり、終末期の状態やドキュメンタリー内での思春期の母と息子の関係性が、そのまま自分の10代の姿と重なって他人事に思えなかったのです。(映画公式資料)

そんな本作の主人公は、高校生の佑(山時聡真)です。佑は、寝たきりとなった母、美咲(菅野美穂)を介護する日々を送っています。進路を決めなければいけない時期とはいえ、介護に疲れ、勉学に励む余裕がない佑は、進学への希望を失い欠けています。でも、そんななか、大きな転機が訪れます。
佑を囲む人間関係としては、美咲の介護に関わる大人達との関係、佑自身の友人達との関係があり、佑が大人の役割を担う時間と子どもでいられる時間の両方を行き来していることがわかります。その割合が前半と後半でどう変わっていくのかが、1つの見どころです。

また、佑と美咲を中心としたストーリーでありながら、彼等を支える介護士や、佑の同級生達の視点も丁寧に描かれていて、さまざまな立場にいる人物の心情を想像することができます。ストーリーが後半にさしかかると、あらゆる場面で佑の本心が表れてくると同時に、美咲や周囲の人達が佑を思いやる気持ちもヒシヒシと伝わってきます。

山時聡真、菅野美穂、南琴奈、田中偉登、西野七瀬の演技も見ものです。山時聡真、南琴奈、田中偉登、若手俳優は、10代の繊細な心情を見事に演じていて、今後の活躍にも期待が膨らみます。

過酷な状況におかれた親子の物語ではあるものの、人の優しさ、温かさに溢れていて、最後はとても清々しい気持ちにさせられる作品です。そして、『90メートル』というタイトルの意味を知った時には、胸が熱くなります。本作は老若男女問わずオススメです。
デート向き映画判定

テーマからすると、特別デート向きな作品というわけではないものの、友達以上恋人未満のようにみえる初々しい関係も描かれていて、気になる人と一緒に観ると、心の距離を少し近づけられそうです。自分自身もしくはパートナーが、1人で抱え込んでしまうタイプだったら、本作を観ると客観視できる部分があるので、一緒に観ると気持ちを共有するきっかけにもできるのではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

皆さんは佑や佑の同級生達の目線で本作を観られると思います。学業、部活、友人関係と、皆さんが身近に感じるテーマが盛り込まれています。表に出さないだけで、本作のキャラクター達が抱えているような悩みを持つ友達がいるかもしれません。そんな時にどうすればよいのか、本作を観ると、いくつかヒントをもらえます。

『90メートル』
2026年3月27日より全国公開
クロックワークス
公式サイト
ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも
©2026映画『90メートル』製作委員会
TEXT by Myson
本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2026年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。



























