REVIEW

靴ひものロンド【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『靴ひものロンド』アルバ・ロルヴァケル/ルイジ・ロ・カーショ

“家族の物語”にもいろいろあるなかで、本作は新たな視点といおうか、人々が目を向けようとしない家族のある一面を提示する1作です。タイトルやポスタービジュアルの可愛らしさから想像するものとは良い意味で異なるストーリーが描かれていて、最後に「そういう話か!」となるはずです。
物語の舞台は大きく分けて2つあり、1980年代初頭のナポリと、ヴァンダ(アルバ・ロルヴァケル)とアルド(ルイジ・ロ・カーショ)が老夫婦となった時代です。老夫婦になった2人を観て、「あれれれれ?」と驚くのは私だけではないはず。そして、この2人に説教をいろいろと垂れたくなります(笑)。でも、世の中には2人のような状況に無自覚に陥っている人がかなり多いのではないかと感じます。この一家に何が起こるかは本編で観ていただくとして、最初から終わりまで、いろいろな方向に想像が掻き立てられ、上手い具合にフェイクに引っかかってしまう方もいるでしょう。でも、フェイクに引っかかってしまうかどうかで、どんな家族観があるかを自覚できるかもしれません。
想像以上にビターで、観終わった後は何ともいえない複雑な気持ちにさせられます。ただ、こういう正直な物語、表現はヨーロッパ映画の魅力の1つではないかと感じます。ぜひ皆さんも、この混沌とした世界に入ってみてください。

デート向き映画判定
映画『靴ひものロンド』アルバ・ロルヴァケル/ルイジ・ロ・カーショ

本作に登場するヴァンダとアルドの夫婦を観ていると、物申したいことがたくさん出てくるはず(笑)。「なぜ、そこでそれを言う?」「なぜ、その人にそれを言う?」「なぜ、今それを言う?」というシーンが複数出てきて、反面教師として観られると思います。なので、同じような経験のある方は、間接的に相手に気付かせたい際に敢えてデートで一緒に観るのも良いかもしれません。ただ同時に不穏な空気を招く火種になる可能性もあるので、賭けであることを覚悟しましょう(苦笑)。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『靴ひものロンド』ルイジ・ロ・カーショ

子どものうちは本作で描かれているようなことを考えなくてよい環境だったら良いなと思えるストーリーです。本作から多くを学べるのは大人だと思います。でも、予防策として観ることはできる面もあるので、家族を持つことも意識するような恋愛をする年齢になってから観ることをオススメします。

映画『靴ひものロンド』アルバ・ロルヴァケル/ルイジ・ロ・カーショ

『靴ひものロンド』
2022年9月9日より全国順次公開
樂舎
公式サイト

© Photo Gianni Fiorito/Design Benjamin Seznec /TROIKA ©2020 IBC Movie

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド 大切な人ができれば、譲れないことも変わる!?『We Live in Time この時を生きて』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は運命的な出会いを果たし、ぶつかり合いながらもお互いに正直に生きるカップルの物語『We Live in Time この時を生きて』を取り上げます。

映画『雪風 YUKIKAZE』竹野内豊 『雪風 YUKIKAZE』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『雪風 YUKIKAZE』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『IMMACULATE 聖なる胎動』シドニー・スウィーニー IMMACULATE 聖なる胎動【レビュー】

敬虔な修道女のセシリア(シドニー・スウィーニー)は、イタリアの美しい田園都市にある修道院にやってきます…

映画『ストレンジ・ダーリン』ウィラ・フィッツジェラルド ストレンジ・ダーリン【レビュー】

6章からなる本作は、ユニークな構成となっています…

映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー/ブランドン・スクレナー ブランドン・スクレナー【ギャラリー/出演作一覧】

1990年6月26日生まれ。アメリカ出身。

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット スーパーマン【レビュー】

ジェームズ・ガン監督らしい表現によって、全く新しい“スーパーマン”が観られます。冒頭の演出からして…

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレート アンソニー・ブイサレート【ギャラリー/出演作一覧】

2004年9月27日生まれ。タイ、バンコク出身。

映画『逆火』北村有起哉 逆火【レビュー】

主人公の野島浩介(北村有起哉)は、感動を呼び話題となっている自伝小説の映画化作品の助監督を務めています。野島は作品に活かすため…

映画『アマチュア』来日ジャパンプレミア:レイチェル・ブロズナハン レイチェル・ブロズナハン【ギャラリー/出演作一覧】

1990年7月12日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン 顔を捨てた男【レビュー】

社会が自分を見る目と、自分自身が自分を見る目がいかにして人の心理や生き方、ひいてはウェルビーイングに影響するのかを…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド
  2. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也
  3. 映画でSEL:告知1回目

REVIEW

  1. 映画『IMMACULATE 聖なる胎動』シドニー・スウィーニー
  2. 映画『ストレンジ・ダーリン』ウィラ・フィッツジェラルド
  3. 映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット
  4. 映画『逆火』北村有起哉
  5. 映画『顔を捨てた男』セバスチャン・スタン

PRESENT

  1. 映画『雪風 YUKIKAZE』竹野内豊
  2. 特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP