REVIEW

マイスモールランド【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『マイスモールランド』嵐莉菜

主人公のサーリャ(嵐莉菜)はクルド人で、子どもの頃に故郷を離れ、今はごく普通の高校生活を送っています。しかし、ある日難民申請が不認定となってしまい、サーリャの生活が一変します。難民問題と聞くと、どこか遠い国で起きていることのように感じますが、本作を観ると私達にとっても意外に身近な問題で、考えるべきテーマであることがわかります。
難民申請が不認定となってから、サーリャ達は、住んでいる埼玉県の外に出ることを禁じられたり、働く先がなくなってしまうなど、とても過酷な現実を突きつけられます。そんな状況下でも彼女が自分のアイデンティティや家族と一生懸命に向き合う姿を観ていると、応援したい気持ちでいっぱいになります。
本作は、是枝裕和監督が率いる映像制作者集団“分福”の新⼈監督、川和⽥恵真による商業映画デビュー作で、川和⽥監督自身もイギリス人の父親と日本人の母親を持っているそうです。また、主人公のサーリャを演じた嵐莉菜も、日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアというマルチルーツを持っており、資料によると彼女や監督自身の経験が本作に反映されている部分もあるようです。
サーリャの繊細な心の動きが丁寧に描かれている点も見応えがあり、嵐莉菜、奥平大兼らの自然体の演技も魅力的です。今後サーリャ達のように苦しむ人が少しでも減るよう、まずは本作を観て自分なりに難民問題について考えてみてはいかがでしょうか。

デート向き映画判定
映画『マイスモールランド』奥平⼤兼

本作ではサーリャがアルバイト先で出会った聡太(奥平⼤兼)と、恋人のような友人のような絶妙な関係を築いていく様子が描かれています。難民問題という難しいテーマの中に2人の初々しい恋愛要素があるのも本作の良いアクセントとなっています。サーリャが聡太の前でだけ素直になれる姿はとても可愛らしいので、恋愛初心者の方が観るとより共感できる部分が多そうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『マイスモールランド』嵐莉菜

主人公のサーリャがティーンという点でも観やすいと思いますし、思春期真っ只中の彼女の心境は大人より皆さんのほうが一層理解できる部分が多い気がします。本作はフィクションですが、日本でも実際に起きている難民問題がテーマとなっているので、気になった点は鑑賞後に調べてぜひ勉強してみてください。

映画『マイスモールランド』嵐莉菜

『マイスモールランド』
2022年5月6日より全国公開
バンダイナムコアーツ
公式サイト

©2022「マイスモールランド」製作委員会

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『見はらし世代』井川遥 井川遥【ギャラリー/出演作一覧】

1976年6月29日生まれ。東京都出身。

映画『WEAPONS/ウェポンズ』 WEAPONS/ウェポンズ【レビュー】

ある町から突然17人の子どもが同時に行方不明になるところから始まる本作は、“IT/イット”“死霊館”シリーズなど、傑作ホラーを多数世に送り出してきた…

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智 ナイトフラワー【レビュー】

『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督が、“真夜中シリーズ”と銘打つ本作は…

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン 『Fox Hunt フォックス・ハント』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『新解釈・幕末伝』山下美月 山下美月【ギャラリー/出演作一覧】

1999年7月26日生まれ。東京都出身。

映画『もういちどみつめる』筒井真理子/髙田万作 もういちどみつめる【レビュー】

「18・19歳の厳罰化を目的とした、2022年の少年法改正に対して抱いた疑問から制作を始めました」(映画公式サイト、佐藤慶紀監督)とあるように…

映画『喝采』ジェシカ・ラング 『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ メイソン・テムズ【ギャラリー/出演作一覧】

2007年7月10日生まれ。アメリカ生まれ。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『WEAPONS/ウェポンズ』
  2. 映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智
  3. 映画『もういちどみつめる』筒井真理子/髙田万作
  4. 映画『果てしなきスカーレット』
  5. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ

PRESENT

  1. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  2. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  3. 映画『喝采』ジェシカ・ラング
PAGE TOP