REVIEW

ロスト・キング 500年越しの運命【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ロスト・キング 500年越しの運命』サリー・ホーキンス

筋痛性脳脊髄炎を患いながらも、子育てと仕事を両立させてきたフィリッパ(サリー・ホーキンス)は、上司から正当な評価を受けていない状況に耐えかねていました。そんな時、舞台で観たリチャード3世の姿に自分を重ね、歴史上のリチャード3世像に疑問を感じたフィリッパは、リチャード3世にまつわる書物を読み漁り、リチャード3世ファンのコミュニティに入り、専門家にも会いに行きます。そうして、フィリッパはリチャード3世の遺骨を探し出す決意をします。
本作は500年以上、行方不明だったリチャード3世の遺骨を発見したフィリッパ・ラングレーの実話を映画化した作品です。人生の壁にぶつかっていた1人の女性が、直感を頼りに歴史的偉業を果たします。でも、その過程でも彼女は主導者にも関わらず、軽んじられていることに苦しみ、手柄を横取りする人達とのストレスのあるやり取りに耐えることになります。フィリッパは最初リチャード3世の専門家でも何でもなく、地位や名誉もない一般人です。でも、彼女は彼女を見下している誰よりも熱心で、リチャード3世の理解者であるのが伝わってきます。そんな彼女が弱い立場でありながら、負けずに信念を通す姿に胸を打たれます。同時に、元夫や2人の息子が温かくフィリッパを支える姿にも心が温まります。
利害関係がなく、純粋に”心が動く”ことに打ち込めるって本当に素敵。フィリッパは大きな勇気で実行に移し、周囲の人達の心も動かしていきます。結婚し、子どもができ、自分よりも家族を優先する姿勢もリスペクトします。ただ、やっぱり自分も幸せになって欲しいし、そうなるべきだと思います。でも、第二の人生を歩もうとした時、ワクワクすることの見つけ方を忘れてしまっていたり、見つけても踏み出す勇気が持てないまま、諦めてしまう人も多いと思います。そんな方々に希望と勇気を与えてくれる作品です。

デート向き映画判定
映画『ロスト・キング 500年越しの運命』サリー・ホーキンス/ハリー・ロイド

フィリッパと元夫のジョンは形として夫婦ではないとしても、とても強い絆で繋がっていて素敵です。衝突しても2人ともお互いに正直である点にも、とても共感します。相手のためにと遠慮したり、我慢したりすることも思いやりからくる行動であると同時に、自分に正直に生きることもお互いが幸せに生きる秘訣のように感じます。この2人を観てどんな風に感じるか語り合うと、お互いの価値観が合うかどうか知ることができそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ロスト・キング 500年越しの運命』サリー・ホーキンス/ハリー・ロイド

リチャード3世にまつわるストーリーなので、世界史の勉強に興味を持つきっかけにもできそうです。また、フィリッパの2人の息子もとても良い味を出していて、やんちゃながらお母さんを影で支える姿をぜひ皆さんにも観て欲しいです。子どもには見せないお母さんの素顔、戦うお母さんの姿から学ぶものは大いにあると思います。そして、本作を観て、大人になっても人生はおもしろいと思えるきっかけになれば嬉しいです。

映画『ロスト・キング 500年越しの運命』サリー・ホーキンス

『ロスト・キング 500年越しの運命』
2023年9月22日より全国公開
カルチュア・パブリッシャーズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© PATHÉ PRODUCTIONS LIMITED AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

本ページの情報は2023年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ パルテノペ ナポリの宝石【レビュー】

イタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督が初めて女性を主人公にして撮った本作の物語は、1950年にパルテノペが生まれるところから…

映画『8番出口』二宮和也 8番出口【レビュー】

観始めてスゴい設定だと驚き、何から何まで巧く作られていて…

映画『ムガリッツ』 『ムガリッツ』トークイベント付き特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『ムガリッツ』トークイベント付き特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『太陽がいっぱい』アラン・ドロン アラン・ドロン【ギャラリー/出演作一覧】

1935年11月8日生まれ。フランス出身。

映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チョ・ジョンソク/イ・ソンギュン 大統領暗殺裁判 16日間の真実【レビュー】

1979年10月26日、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が暗殺されました。本作は、その暗殺事件に関わったメンバーのうち、軍人だったために唯一軍法裁判にかけられたパク・テジュ(イ・ソンギュン)と…

映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』 『Pacific Mother パシフィック・マザー』一般向けオンライン試写会 10名様ご招待

映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』一般向けオンライン試写会 10名様ご招待

映画『愛はステロイド』クリステン・スチュワート/ケイティ・オブライアン 愛はステロイド【レビュー】

本作の原題は“Love Lies Bleeding”で、「愛は血を流す」と直訳されます。一方,邦題は『愛はステロイド』と付けられています…

Netflixリアリティ番組『彼氏彼女いない歴=年齢、卒業します』 映画に隠された恋愛哲学とヒント集79:『彼氏彼女いない歴=年齢、卒業します』『ラブ・イズ・ブラインド ~外見なんて関係ない?!~』にみる恋の見つけ方と見分け方

今回は、トーキョー女子映画部正式部員の方からいただいたお悩み相談を基に、オススメの恋愛リアリティ番組をご紹介します。

映画『終わりの鳥』ジュリア・ルイス=ドレイファス ジュリア・ルイス=ドレイファス【ギャラリー/出演作一覧】

1961年1月13日生まれ。アメリカ、ニューヨーク出身。

映画『バレリーナ:The World of John Wick』ジャパンプレミア:アナ・デ・アルマス、レン・ワイズマン監督 チャレンジがあるからこそ、自分達の創造性の燃料になる『バレリーナ:The World of John Wick』ジャパンプレミア

『バレリーナ:The World of John Wick』の公開を記念し、主演のアナ・デ・アルマスとレン・ワイズマン監督が来日し、ジャパンプレミアが開催されました。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  2. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ
  3. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

REVIEW

  1. 映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ
  2. 映画『8番出口』二宮和也
  3. 映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チョ・ジョンソク/イ・ソンギュン
  4. 映画『愛はステロイド』クリステン・スチュワート/ケイティ・オブライアン
  5. 海外ドラマ『アイアンハート』

PRESENT

  1. 映画『ムガリッツ』
  2. 映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』
  3. 映画『ファンファーレ!ふたつの音』バンジャマン・ラヴェルネ/ピエール・ロタン
PAGE TOP