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サンセット・サンライズ【レビュー】

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映画『サンセット・サンライズ』菅田将暉

REVIEW

岸善幸監督と菅田将暉は『二重生活』『あゝ、荒野』でタッグを組んでいます。岸善幸監督の過去作から想像すると、シリアスな作品かと思いきや、宮藤官九郎が脚本を務めている点でこれまでとはトーンが異なる作品かもしれないと予想される方もいるでしょう。映画公式資料によると、岸善幸監督と宮藤官九郎はともに東北出身、岸善幸監督は本作が初コメディとのことです。そして、原作は、楡周平の同名小説です。

映画『サンセット・サンライズ』井上真央

物語の舞台は、新型コロナウイルス感染拡大の初期。釣りが好きな晋作(菅田将暉)は、東京で大企業に務めながら、釣りが楽しめる宇田濱町に4LDKで家賃6万円という魅力的な物件を見つけ、試しに移住をします。でも、晋作が移住してきたことで、大家であり市役所に勤める百香(井上真央)は、あれこれと気を揉むことになります。

映画『サンセット・サンライズ』菅田将暉

原作を未読で、真っ新な状態で観始めた場合、まず船上のシーンでクスッと笑えて、おおよそどんなトーンの作品か掴めると思います。個人的に、とあるブランド名が意外な人物の口から出てきて、何を言っているのかと思ったら○○○だったというオチで一気に引き込まれました(笑)。こういうコミカルな部分は宮藤官九郎の脚本らしさが出ているところでしょうかね。その後も、飲み屋のシーンなど、笑わせどころが役割分担されている点が印象的です。

映画『サンセット・サンライズ』菅田将暉/中村雅俊

一方で、震災という重いテーマにも切り込んでいます。ただし、本作の軽快で陽気なトーンを活かしながら、直球で切り込んでいく潔さがあります。被災していない側が持つ戸惑いや、聞くに聞けないことを代弁してくれているともいえて、被災していない側が今後どんな風に過去や被災された方と向き合うと良いのか、指針を与えてもらえます。

映画『サンセット・サンライズ』菅田将暉/白川和子

さらに、本作にはさまざまな人間関係が描かれているなかで、新しい形も提案されています。こうでなければいけないという枠から出て、お互いが自分らしく伸び伸びと生きようという時代が来たのだなと好感が持てます。豪華キャストの演技も見事なので、ぜひこの世界観に浸ってください。

デート向き映画判定

映画『サンセット・サンライズ』菅田将暉/井上真央

友達以上恋人未満からなかなか進展しない方にとっては、刺激となりえます。ただし、価値観が一致していなければ、良くも悪くも結論が分かれる可能性もあります。いずれにしても自分達の関係性をハッキリさせて前に進みたい方は敢えて一緒に観てみるのもアリだと思います。既にカップルの場合は気兼ねなく観られるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『サンセット・サンライズ』菅田将暉/竹原ピストル/三宅健

大人とは注目するポイント、印象に残るポイントが異なりそうとはいえ、楽しいシーンも多いので、皆さんの世代なりの楽しみ方ができそうです。また、物語の舞台は被災地という設定なので、年齢を問わず関心を持てるテーマも含まれています。自由に感じるままに観てください。

映画『サンセット・サンライズ』菅田将暉/井上真央/竹原ピストル/三宅健/池脇千鶴/小日向文世/中村雅俊

『サンセット・サンライズ』
2025年1月17日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト

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©楡周平/講談社 ©2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「サンセット・サンライズ」楡周平 著/講談社
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