REVIEW

658km、陽子の旅【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『658km、陽子の旅』菊地凛子

本作は、「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM 2019」の脚本部門審査員特別賞を受賞した室井孝介のオリジナル脚本を原案に、熊切和嘉監督が菊地凛子を主演に迎えて制作した作品です。主人公は、人生を諦め、日々何となく過ごしている独身女性の陽子(菊地凛子)です。ある日、彼女のもとに父の訃報が届き、従兄に連れられ、実家のある青森へ向かうことになります。しかし、その道中あるトラブルが起こり、陽子は1人でサービスエリアに残されてしまいます。携帯電話は故障中で所持金もわずかしかないため、陽子は実家までヒッチハイクをすることを決意します。
陽子は普段人とほとんど接することなく生活しているので、急にヒッチハイクができるのかと心配になります。実際車に乗せてくれる人が簡単に見つかるわけではなく、乗せてもらえる人が見つかっても、危険な目に遭う場面もあり、ヒッチハイクの大変さを感じます。そうした彼女の姿を観ていると、とても切なくなり、「誰か助けてあげて」と応援したくなります。もちろん中には優しい人もいて、陽子の心の支えになるような人物も現れます。そんな陽子がヒッチハイクの旅を通してさまざまな人と接することで、どんな変化を遂げていくのか注目です。
菊池凛子は、すっぴんに近いメイクで陽子役に臨んでおり、陽子の無気力さや苛立ちを上手く体現しています。そして、陽子と道中で出会う人物として黒沢あすか、見上愛、浜野謙太、吉澤健、風吹ジュンらが出演しており、それぞれが陽子の心に少しずつ刺激を与える重要人物を演じています。 本作は人間ドラマとしてもロードムービーとしても楽しめる作品です。陽子の人間関係や辛い心情は、大人ならどこか共感できるのではないでしょうか。もし陽子と同じように人生に疲れてしまっている方なら一歩踏み出す勇気をもらえると思います。

デート向き映画判定
映画『658km、陽子の旅』菊地凛子

恋愛要素はなく、シリアスなシーンが続くので、デートよりも1人でじっくり観るほうが向いていると思います。ただ、相手がロードムービー好きやヒッチハイク経験者などであれば、一緒に観ても良いかもしれません。もし本作を気に入ったら、次回のデートでは他のロードムービーを一緒に観るのも良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『658km、陽子の旅』菊地凛子/オダギリジョー

人生を諦めてしまった陽子の気持ちを理解することはまだ難しいかもしれないので、せめて中学生くらいになってからご覧ください。また、皆さんの中には、ヒッチハイクに興味のある方もいるのではないでしょうか。陽子の場合は予期せずしてヒッチハイクをすることになり、旅の道中で良い人にも危険な人にも出会います。注意すべき点は留意しつつ、ご自身でもヒッチハイクについて調べてみてください。

映画『658km、陽子の旅』菊地凛子

『658km、陽子の旅』
2023年7月28日より全国順次公開
カルチュア・パブリッシャーズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©2023「658km、陽子の旅」製作委員会

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ スワイプ:マッチングの法則【レビュー】

リリー・ジェームズが主演とプロデューサーを兼任する本作は…

映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行【レビュー】

パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが…

映画『消滅世界』蒔田彩珠/眞島秀和 眞島秀和【ギャラリー/出演作一覧】

1976年11月13日生まれ、山形県出身。

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン Fox Hunt フォックス・ハント【レビュー】

“狐狩り隊(=フォックス・ハント)”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチームが、国を跨いだ巨額の金融詐欺事件の真犯人を追い詰めるスリリングな攻防戦が描かれた本作は…

Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック フランケンシュタイン【レビュー】

メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで…

映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ 大命中!MEは何しにアマゾンへ?【レビュー】

『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』という邦題がいい感じで「どういうこと?」と好奇心をそそります(笑)…

映画『君の顔では泣けない』芳根京子 芳根京子【ギャラリー/出演作一覧】

1997年2月28日生まれ。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー 『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

今回は『白の花実』に出演する美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんにお話を伺いました。撮影前に準備されたことや、本編を観た感想を直撃!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ
  2. 映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  4. Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック
  5. 映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP