REVIEW

アドレセンス【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflixシリーズ『アドレセンス』オーウェン・クーパー

REVIEW

思春期を意味する『アドレセンス』(adolescence)と題された本作は、全4話で構成されています。物語はまだ13歳の少年ジェイミー・ミラー(オーウェン・クーパー)が殺人容疑で逮捕されるところから始まります。まだあどけなさが残るジェイミーを観ると、本当に彼が人を殺めたのか信じられないまま、物語は進行していきます。

Netflixシリーズ『アドレセンス』オーウェン・クーパー

ジェイミーが逮捕された後、警察署での手続きや取り調べなどの様子が生々しく映ります。ただ、本作はジェイミーが殺人を犯したのかどうかを軸としたストーリーというよりも、思春期の子ども達が抱える問題や、日々の葛藤を描いています。

Netflixシリーズ『アドレセンス』オーウェン・クーパー

そして、ジェイミーが通う学校では、他の生徒達に聞き込みが行われます。当事者と関わりのある生徒達は事件後に何を思い、どう過ごしているのか、当事者と直接の接点のない生徒達はどんな態度でいるのか、その様子にも、思春期の複雑性が垣間見えます。

Netflixシリーズ『アドレセンス』

本作を観ていると、思春期の子ども達は、日々得体の知れないものと戦っているように見えます。子ども達だけの“共通言語”のようなものがあり、それが仲間を作る術であると同時に、武器にもなる。もしかしたら、相手を傷つけようとしているというよりも、自分の身を守るために自分を強く見せようとして、その“武器”を振りかざしているのかもしれないと感じます。ただ、いずれにしても、そこには残酷性があります。

Netflixシリーズ『アドレセンス』オーウェン・クーパー

また、本作を観ると、思春期は大人に近づいていく時期だからこそ、社会的な役割が前提とされたレッテルを貼られる辛さを経験し始める年頃だとわかります。そうしたレッテルを貼るのは、周囲からの目であることもあれば、親である場合もあって、親子関係の難しさも本作は物語っています。

Netflixシリーズ『アドレセンス』スティーヴン・グレアム

そして、撮影手法もユニークです。各話はワンカットで撮られていて、描かれている出来事が目の前で起こっているかのような臨場感があります。本作で、ジェイミーの父親役を演じ、ジャック・ソーンと共に製作と脚本にも名を連ねるスティーヴン・グレアムは、『ボイリング・ポイント/沸騰』で監督を務めたフィリップ・バランティーニと再びタッグを組んでいます。『ボイリング・ポイント/沸騰』も長回しのワンカットが好評を得ており、本作でもその手腕が発揮されています。

Netflixシリーズ『アドレセンス』アシュリー・ウォルターズ

他にも、エグゼクティブ・プロデューサーには、Plan B Entertainmentのブラッド・ピット、ジェレミー・クライナー、デデ・ガードナー、ニーナ・ウォラースキー等が名を連ねています(Netflix公式資料)。たった13歳の少年が殺人の容疑者として逮捕されるという衝撃的な出来事から始まる本作で、登場人物達にどんな変化が表れるのか、ぜひご覧ください。

『アドレセンス』
2025年3月13日よりNetflixにて配信中
公式サイト Netflixで観る

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年4月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗 新解釈・幕末伝【レビュー】

幕末を描いた本作は、“新解釈”とタイトルにあるように、ユニークな解釈で描かれて…

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア、ジェームズ・キャメロン監督、山崎貴監督、宮世琉弥 お互いの才能を讃え合うジェームズ・キャメロン監督と山崎貴監督、若者代表、宮世琉弥も感動『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア

最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』のワールドツアーの一環として、ジェームズ・キャメロン監督が3年ぶりに来日。山崎貴監督と宮世琉弥も会場に駆けつけました。

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』八木莉可子 八木莉可子【ギャラリー/出演作一覧】

2001年7月7日生まれ。滋賀県出身。

映画『グッドワン』リリー・コリアス 『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行【レビュー】

「人生をやり直せるドア」が登場する点と、コリン・ファレルとマーゴット・ロビーが向かい合うキービジュアルから、恋愛をやり直すストーリーかと思いきや…

映画『サリー』エスター・リウ 『サリー』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『サリー』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン THE END(ジ・エンド)【レビュー】

REVIEWいつも通り観賞前にほぼ何も情報を入れず、登場人物はいつの時代にどこに住んでいる…

映画『シェルビー・オークス』 シェルビー・オークス【レビュー】

かつて繁栄しながらも今は廃墟と化しているシェルビー・オークスという町で…

映画『ナイトフラワー』渋谷龍太 渋谷龍太【ギャラリー/出演作一覧】

1987年5月27日生まれ。東京都出身。

映画『悪魔祓い株式会社』マ・ドンソク/ソヒョン/イ・デヴィッド 悪魔祓い株式会社【レビュー】

本作は、『悪人伝』や“犯罪都市”シリーズ、ハリウッド映画『エターナルズ』などでお馴染みのマ・ドンソクが…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗
  2. 映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー
  3. 映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン
  4. 映画『シェルビー・オークス』
  5. 映画『悪魔祓い株式会社』マ・ドンソク/ソヒョン/イ・デヴィッド

PRESENT

  1. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  2. 映画『サリー』エスター・リウ
  3. 映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ
PAGE TOP