REVIEW

アンネ・フランクと旅する日記【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『アンネ・フランクと旅する日記』

本作は、不朽の名作“アンネの日記”を題材に斬新なアプローチで、アンネ・フランクの生涯を描いたアニメーション映画です。監督は『戦場でワルツを』でアニメーション映画として初めてアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞を受賞したアリ・フォルマンが務めています。物語の主人公は、アンネが生み出した空想上の友達、キティー。“アンネの日記”では、ほぼ毎回「Dear Kitty(親愛なるキティーへ)」と始まることからファンにはお馴染みの存在のようですが、本作ではそんなキティーに命が吹き込まれ、“アンネの日記”には記されていないアンネの歴史が綴られていきます。観ている側はキティーを通してアンネという人物はもちろん、戦時下におけるアンネの複雑な心境や人生も知ることができます。
戦時中という大変な時代にアンネが大きな不安を抱えながら生活していた点には胸が苦しくなりますし、紛争や戦争が未だに続く現代にもリンクする部分を感じるはずです。 “アンネの日記”を知らない人でも内容には問題なくついていけますし、キティーとアンネの物語が上手く絡み合う展開はとても見応えがあります。決して明るい内容ではありませんが、戦争というテーマをアニメーションでわかりやすく描いている点はとても秀逸で、アンネとキティーの生き様からは誰もが勇気をもらえると思います。

デート向き映画判定
映画『アンネ・フランクと旅する日記』

友情や家族関係、戦争など、さまざまな要素のある作品ですが、アンネとキティーそれぞれの淡い恋愛模様も描かれています。2人共とても特殊な状況下で恋愛をしているので、少し切ない気持ちになりそうですが、デートで観たら愛する人と一緒にいられることの大切さを感じ、愛が深まる効果も期待できそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『アンネ・フランクと旅する日記』

戦争をテーマにした作品を観るのにオススメの作品です。アンネの人生を知ることで驚く部分も多いと思いますが、アンネがどんな想いで戦時中を過ごしていたのか自分なりに想像してみてください。アンネの場合は日記の中のキティーが心の支えになっていましたが、皆さんにとってどんな人が大切な存在か、この機会に振り返ってみるのも良いのではないでしょうか。

映画『アンネ・フランクと旅する日記』

『アンネ・フランクと旅する日記』
2022年3月11日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

© ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND

TEXT by Shamy

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  4. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  5. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP