REVIEW
ニューヨークのブルックリンを舞台に救急隊員が直面する日常を描いた本作は、シャノン・バーク著「Black Flies」(2008)を原作として、『暁に祈れ』のジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督が映画化しました。キャストは、ショーン・ペン、タイ・シェリダン、キャサリン・ウォーターストン、マイケル・ピット、マイク・タイソンという豪華な顔ぶれです。

映画公式資料によると、ソヴェール監督は「著者の救急隊員としての実体験に基づいているというところに興味をそそられ、すぐに主人公に共感した」と語っており、新人救急隊員と上司の関係は原作のままに、時代設定は1990年代から現代に、舞台はニューヨーク市内の別の区に変えています。また、あるキャラクターの設定は「多くのニューヨーク市の救急隊員が直接、あるいは間接的に 9.11の影響を受けているという事実に基づ」き、変更されています。

本作では冒頭から、救急隊員達が壮絶な現場で救急活動を行う姿が次々と映し出されていきます。救急隊員達はほとんどの現場で生死を分ける状況を目の当たりにします。壮絶な状況がかなり生々しく描かれている理由は、劇中で描かれる「通報のほとんどが、ブルックリンで実際にあった事例を基にしている」(映画公式資料)からでしょう。そうしたシーンの数々から、救急隊員達がいかに過酷な状況で働いているかが伝わってきます。

そんなブルックリンの町で、医師を目指しながら救急隊員として働く新人のクロス(タイ・シェリダン)は、ベテラン隊員のラット(ショーン・ペン)とバディを組むことになり、2人は徐々に信頼関係を築いていきます。でも突如、思わぬ事態が発生します。

とあるシーンで、何かがおかしいと思いながら、皆さんも少しの間何が起こったのかが受け入れられない状況になるでしょう。でも、それが今ニューヨークで実際に起こっている事態だと知ると、衝撃を受けるはずです。ネタバレになるので、これ以上は具体的に書かないでおくとして、本作は救急隊員や同様の救命活動をしてくださる方々が抱えている苦悩に気づかせてくれる作品です。彼等は英雄だけれど、一方で同じ人間であることを忘れてはいけないと実感します。
デート向き映画判定

救急隊員達の私生活における人間関係の難しさも描かれています。命を預かる職業の方と交際中の方は特に、いろいろ重ね合わせて観てしまうところがあるかもしれません。そういう意味では、敢えて一緒に観て本音を語り合うか、1人でじっくり観て、自分と相手の立場を客観視するのもアリでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

これが日常かと思うと、どれだけ心労があるか想像できないほどに、ニューヨークの救急隊員達は日々生死を分ける現場で働いています。やり甲斐だけでは乗り越えられないという現実を突きつけられる内容となっています。救急活動や医療に関わる仕事に関心がある方は、実態を知る機会として観るのも良いのではないでしょうか。

『アスファルト・シティ』
2025年6月27日より全国公開
R-15+
キノフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2025年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
