REVIEW
『ザ・ホエール』で米アカデミー賞主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザーが主演を務める本作は、長編デビュー作『37セカンズ』で注目され、アメリカを拠点に活躍する大阪出身の日本人、HIKARI監督によって、100%日本で撮影されました。共演者には、海外でも活躍する平岳大、山本真理のほか、日本からは、柄本明、安藤玉恵、森田望智、真飛聖、板谷由夏等が名を連ねています。

日本で俳優業を営むものの、なかなか仕事に恵まれないフィリップ・ヴァンダープルーグ(ブレンダン・フレイザー)は、急な連絡が入り向かった現場で、家族のふりをする仕事をします。それがきっかけで、フィリップは“家族を貸し出す”ビジネスを営む会社の社長、多田信二(平岳大)から仕事を受けるようになります。そんななか、フィリップは難度の高い依頼を受け、複雑な状況に陥ってしまいます。

本作には“レンタル・ファミリー”のさまざまな用途が出てきます。利用したことがない立場からすると、「そんなことまで頼むの?」と思えるものの、“家族を貸し出す”ビジネスは、日本に実際にあります。HIKARI監督は2018年頃からこの業界を研究し、日本には約300社存在すると述べています(映画公式資料)。また、多田役の平も「東京の類似企業で働く従業員への取材に時間を費やした」そうで、「夜間の孤独を紛らわすため俳優を雇い客間に寝かせた高齢女性のエピソード」に心を動かされたといいます。こうした背景を知ると、私達が思う以上に、ふとしたことにでもニーズはあるのだなと感じます。

本作では、体裁上の“家族”がどうしても必要な状況や、家族のために誰かのふりをしてもらいたい状況がいくつか出てきて、最初のうちは“レンタル・ファミリー”というサービスの良い面が打ち出されます。でも、フィリップが慣れてくると、後々ややこしい事態になりそうな依頼も出てきて、スリルが増してきます。特に、ホンモノとして接するという条件付きの案件では、フィリップにも、相手の少女、美亜(ゴーマン シャノン 眞陽)にも、同情が湧き、2人が後で傷つきませんようにと祈らずにはいられません。映画公式資料によると、実は美亜のエピソードはHIKARI監督自身の体験が基になっているそうですよ。

フィリップ達にどんな出来事が起きるのかは観てのお楽しみとして、本作はとても温かいオーラで包まれています。誠実で優しいフィリップ、彼に心を動かされる日本人達が、大きなトラブルの後にみせる人情溢れる行動に胸を打たれます。そして、本作が映画初出演というゴーマン シャノン 眞陽が見事な演技をみせており、彼女が演じる美亜が世界を受け容れ成長し、大人を許す姿に観ているこちらも心が救われます。本作は、どんなルーツや背景を持っていても助け合える世界は、私達が自ら作り出せる余地がまだあることを教えてくれます。
デート向き映画判定

親子関係、夫婦関係など、さまざまな場面で利用される“レンタル・ファミリー”のサービスを観ると、人が何に飢えているのかを想像させられます。クライマックスでは、意外な人物が“レンタル・ファミリー”を利用している事実が明かされ、ハッと驚かされます。その様子を観ると、結婚観、家族観にビビッとくる方もいるかもしれません。だから、パートナーがどういう感想を持つかで、自分達の価値観が合うかどうかが少しわかりそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定

“レンタル・ファミリー”が利用されるケースはさまざまで、“レンタル・ファミリー”で働く俳優もその分、いろいろな立場を演じます。だから、演じる立場で観るのか、サービスを利用する立場で観るのかで、感想も変わりそうです。こうしたサービスの良い悪いをジャッジするという見方よりも、なぜ必要なのかを考えると、自分の心や他の人達の心の奥にあるものに気づけるかもしれません。

『レンタル・ファミリー』
2026年2月27日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2026年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。




























