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パリのどこかで、あなたと

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映画『パリのどこかで、あなたと』アナ・ジラルド/フランソワ・シヴィル

物語の主人公は、30歳のメラニー(アナ・ジラルド)とレミー(フランソワ・シビル)。2人はパリにある隣り合うアパートメントで一人暮らしをしていて、お互いのことを知りません。2人とも一見平穏に暮らしていますが、不眠に悩み、心が不安定な状態になっています。本作は、そんな2人がそれぞれに問題を克服しようとする姿を描いており、そこには都会で生きる人達の心情が投影されています。
都会は他人との距離が一定に保たれていて、孤独な部分もあるけれど、時にそのほうが気楽だったりします。一方で人が多い分、いろいろな人がいるのでどう接したら良いかわからなかったり、自分を曲げて付き合ったほうが良いのか悩むこともあります。本作にはそんな“都会暮らしあるある”が詰まっていて、2人がどうやって立ち直っていくのかを優しく見守るように映し出しています。また本作は、表面的な問題ではなく、もっと奥にある根本の問題が心に支障をきたす原因になっている可能性があることも教えてくれます。
ついつい、いつこの2人は出会うんだろうと予想しながら観てしまいますが、どういうタイミングで出会うのが2人にとって良いのか、そっと教えてくれるのでご安心を。あと、ふいに出てくる猫ちゃんがめちゃくちゃ可愛くて、観ているとすごく癒されるので、猫好きの皆さんにもオススメです。

デート向き映画判定
映画『パリのどこかであなたと』アナ・ジラルド

メラニーのストーリーでは、過去の恋愛が重要なキーポイントになっていて、多くの女性が同じような経験をしていると思われるので、客観視するきっかけにできると思います。またレミーのストーリーでは、恋愛の初段階で起こりがちなパターンが描かれていて、参考になる部分があります。というわけで、これはデートで観るよりも、1人で観てじっくり自分の恋愛を振り返るきっかけにするか、友達と観て恋バナに華を咲かせるほうが楽しめるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『パリのどこかであなたと』フランソワ・シヴィル

キャラクターの年齢が30歳というところで、キッズやティーンの皆さんにはまだピンとこないと思います。2人の男女の日常を淡々と描き、正直ビジュアル的に派手な展開はありません。逆に心の動きを丁寧に描いている作品という意味で、感情移入できるとすごくドラマチックに思えるはずなので、大人になって仕事や恋愛で一苦労経験してから観ることをオススメします。

映画『パリのどこかであなたと』アナ・ジラルド/フランソワ・シヴィル

『パリのどこかで、あなたと』
2020年12月11日より全国順次公開
PG-12
シネメディア
公式サイト

© 2019 / CE QUI ME MEUT MOTION PICTURE – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA

TEXT by Myson

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