REVIEW
『ペンギン・レッスン』というタイトルが醸し出す世界観、スティーヴ・クーガンやジョナサン・プライスといった名優がメインキャストに名を連ねていることからして、イイ話に違いないと期待が膨らみます。その期待を裏切らない作品です。本作は、トム・ミシェルによる回想録「ペンギンが教えてくれたこと 海辺で君を見つけた日」を、『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ監督が映画化した作品です。

本作はタイトルから想像できる通り、ペンギンが登場します。でも、一瞬実話を基にしたストーリーということを忘れてしまうくらい、とても珍しい状況が起こります。英国人教師のトム(スティーヴ・クーガン)は、アルゼンチンのブエノスアイレスにある名門寄宿学校へ赴任します。1976 年のアルゼンチンは社会情勢が不安定で、トムは現地に着くなり身の危険を感じます。そんななか、突然学校が休校となり、トムは数日旅に出ます。そこで、ひょんなことから一羽のペンギンに出会い、奇妙な関係が生まれます。

トムの人柄や過去がまだわからない序盤では、彼の空虚で薄情な面のほうが目立ちます。でも、彼がなぜそういう態度になっているのかが見えてくると、親近感が湧いてきます。同時に、トムがどんな態度であれ、ペンギンは当然どこ吹く風という態度なので、ある意味良いコンビに見えてきます。そして、徐々にペンギンとの絆が芽生え、トムの人間関係が変化していく様子を観ると、とてもホッコリします。ペンギンの“演技”も本当に見事で、映画公式資料には以下のように書かれています。

スティーヴ・クーガンは撮影の大半で本物のペンギン——ババとリチャード——と密接に行動を共にし、撮影前には数週間をかけて彼らの住処を訪れ、話しかけ、抱きかかえながら親しみを深めていった。/「撮影が始まる頃には、もう彼らを抱き上げるのにすっかり慣れていました。別れのときは本当に感動的でした。ペンギンには、人の心をほぐす不思議な力があります。人間は往々にして内向きになり、些細なことに囚われすぎるものですが、この鳥たちは“すべてを真剣に受け止めすぎないこと”を教えてくれます」とクーガンは振り返る。(映画公式資料)

本作は、ペンギンと人間の間で起きた奇跡的な出来事を描きつつ、傷つき弱った人間のリアルな心情を描いている点で、自分事として観られます。辛い出来事があったり、どこか悶々としたまま卑屈になっていると感じたら、ぜひ本作を観て心をほぐしてください。
デート向き映画判定

ちらっと男女関係に関わるシーンが出てくるものの、気まずくなる心配はなく、老若男女問わず観やすいストーリーです。ペンギンもとっても可愛いので、観ているだけで癒される点も魅力です。お互いに優しくなれず、余計なことばかり言って喧嘩が多いカップルは、ペンギンの態度から学べるところがあるかもしれません(笑)。
キッズ&ティーン向き映画判定

寄宿学校が舞台となっていて、皆さんと同じ年頃の子ども達も登場するので、等身大で観られる部分があるでしょう。また、生徒同士の関係にアルゼンチンの社会情勢が関わっています。アルゼンチンの歴史にも興味を持てたらさらに自分で調べてみると、世界史の勉強にもなって一石二鳥です。

『ペンギン・レッスン』
2025年12月5日より全国公開
ロングライド
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2025年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。






























