REVIEW

PITY ある不幸な男

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『PITY ある不幸な男』ヤニス・ドラコプロス

個人的にヨルゴス・ランティモス作品が好きなので、『籠の中の乙女』『ロブスター』などヨルゴス・ランティモス作品を多く手掛け、アカデミー賞脚本賞にノミネートされた脚本家のエフティミス・フィリップが本作で共同脚本を手掛けているということで期待を膨らませて観ました。結果期待通りで、皮肉たっぷりの悲劇的で喜劇的なストーリーとなっています。
昏睡状態の妻を持つ主人公は、悲劇的な日常にどっぷり浸かり、周囲からの同情と厚意を堪能しています。でも、妻が目を覚ましたことで彼が堪能していた世界が崩れ始めます。いかに彼がクレイジーかは物語の設定だけでも伝わってくると思いますが、悲しみに暮れることに快感や幸せを感じる主人公の姿はおぞましいと同時にかなり滑稽です。映画音楽の効果も存分に発揮され、その滑稽さが一層際立って見えてきます。
主演のヤニス・ドラコプロスのほとんどずっと無表情な演技もキャラクターの不気味さを倍増させていて、その怪演ぶりも見どころです。最後はとんでもない方向へ向かっていきますが、ラストシーンは観ようによってはクスッと笑えるというか、「いろいろ皮肉だな〜」と思えます。私も含め、好きな人はすごく好きな作品だと思います。『ロブスター』のような作品が好きな方には特にオススメです。

デート向き映画判定
映画『PITY ある不幸な男』ヤニス・ドラコプロス

妻を思う夫に見えて実は…というお話なので、カップルで観るとゾクゾクして、ラブラブムードは吹っ飛ぶかもしれません(苦笑)。相手が主人公のような人間である確率はかなり低くても、どんな人間の内側にも彼のような一面があるかもと思えるので、1人でじっくり観るほうがその時間だけは映画の世界に浸れると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『PITY ある不幸な男』ヤニス・ドラコプロス

大人が観ても「怖っ!」と思うストーリーです。主人公の息子も登場するので、皆さんは自然と彼の目線で観てしまうのではないでしょうか。何を考えているかわからない父親の姿が恐ろしく、人間の表と裏が見えるので、ちょっと大人不信になるかもしれません。そういう意味では思春期を過ぎてから観たほうが良さそうです。

映画『PITY ある不幸な男』ヤニス・ドラコプロス

『PITY ある不幸な男』
2021年10月8日より全国公開
TOCANA
公式サイト

©2018 Neda Film, Madants, Faliro House

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜』ユアン・ホロックス 『真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜』【レビュー】

本作は、ナチス政権に言論の力で対抗した少年ヘルムス・ヒューベナーの実話を基にしています…

映画『ストリートファイター/ザ・ムービー』ノア・センティネオ/アンドリュー・小路 ストリートファイター/ザ・ムービー【レビュー】

原作のゲームに詳しくないとしても一度でもゲームをやったことがある方なら、本作を観れば懐かしさを感じられるでしょう…

映画『シャイロックの子供たち』木南晴夏 木南晴夏【ギャラリー/出演作一覧】

1985年8月9日生まれ。大阪府出身。

映画『クジラに落ちた男』オースティン・エイブラムス クジラに落ちた男【レビュー】

クジラに落ちた男』というタイトルが示す通り、内容はイメージしやすい一方で、クジラの中に閉じ込められている状況でどんなストーリーが展開するのかは想像を超えています…

映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』トム・クルーズ/ブラッド・ピット あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

世界的な超トップスター、トム・クルーズとブラッド・ピットが共演した奇跡の作品『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のパッケージリリースを機に、当部恒例企画「勝手にキャスティング企画!」を実施。

映画『ハイファイブ!』イ・ジェイン/パク・ジニョン ハイファイブ!【レビュー】

超能力者の臓器を移植された6人のキャラクターが、それぞれに特殊能力を授かります…

映画『ムクドリと人生とレモンパスタ』アルバ・ロルヴァケル/エリオ・ジェルマーノ 『ムクドリと人生とレモンパスタ』スペシャルトーク付き特別試写会 5組10名様ご招待

映画『ムクドリと人生とレモンパスタ』スペシャルトーク付き特別試写会 5組10名様ご招待

映画『URCHIN/アーチン』フランク・ディレイン URCHIN/アーチン【レビュー】

路上生活から抜け出そうともがく青年を主人公にした本作は、俳優として活躍するハリス・ディキンソンの長編初監督作です…

映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』小栗旬/リリー・ジェームズ バッド・ルーテナント:トウキョウ【レビュー】

三池崇史監督、小栗旬、リリー・ジェームズをはじめとして、キャスト、スタッフともに、日本とハリウッドが手を組んで作られた本作は、撮影前にNEONによる北米配給が決まりました…

映画『わたしの知らない子どもたち』小八重葵美/二階堂ふみ わたしの知らない子どもたち【レビュー】

戦後の厳しい時代を生き抜く子ども達の姿を描く本作は、広島に生まれた西川美和監督によって作られました…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』トム・クルーズ/ブラッド・ピット あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

世界的な超トップスター、トム・クルーズとブラッド・ピットが共演した奇跡の作品『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のパッケージリリースを機に、当部恒例企画「勝手にキャスティング企画!」を実施。

【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集! 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!

Season2では、比喩的思考、批判的思考、論理的思考を軸として、「思考力を鍛える映画鑑賞の仕組み」を探求するスタンスで一連の流れを意識して構成しています。 とはいえ、毎回冒頭で前回までの振り返りを簡単にしますので、好きな回だけ単発で参加いただいてもOKです。映画に関する雑談も含めて一緒に楽しみましょう!

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ 映画好きが選んだアン・ハサウェイ人気作品ランキング

今回は、アン・ハサウェイ出演作品(日本劇場未公開作品と直近の劇場公開作品を除く)を対象に、正式部員…

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミSeason2】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求(2)言葉とイメージの関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミSeason2 第1回】「思考力を鍛える映画鑑賞—その仕組みの探求①オリエンテーション」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『真実と反逆 〜ナチスと闘った若きレジスタンス〜』ユアン・ホロックス
  2. 映画『ストリートファイター/ザ・ムービー』ノア・センティネオ/アンドリュー・小路
  3. 映画『クジラに落ちた男』オースティン・エイブラムス
  4. 映画『ハイファイブ!』イ・ジェイン/パク・ジニョン
  5. 映画『URCHIN/アーチン』フランク・ディレイン

PRESENT

  1. 映画『ムクドリと人生とレモンパスタ』アルバ・ロルヴァケル/エリオ・ジェルマーノ
  2. 映画『君の話』北村匠海/出口夏希
  3. 映画『進行曲 マーチングボーイズ』ムー・セン(牧森)
PAGE TOP