篠原涼子は、こういう役をやらせたらピカイチですね。チャキチャキの母親のキャラクターにとても共感できます。愛情たっぷりで、子どもにもそれが伝わっているはずなのに、お互いに愛があるからこそ、うまくいかないことがあるんだなと、子育ての難しさを痛感します。キャラ弁のクオリティが高過ぎて、その内容を見ているだけでも楽しめますが、そこに込められた思いにシャレが効いていて、クスッと笑えます。また、娘達の姉妹の性格の違いも、兄弟姉妹がいる人なら、自分に通じる部分を感じて観られるはず。物語は母と次女のやり取りがメインになっていますが、姉の存在の大きさも感じられます。抱きしめたり、時には突き放したり、愛がないとできないことだなと思うと、自分の両親に大きな感謝の気持ちも湧いてきます。
若かりし頃に多くの人が経験するであろう甘酸っぱい恋愛物語も出てきますが、基本は母子の話なので、ロマンチックなムードにしてくれることは期待できませんが、ほのぼのとしたストーリーで、どんな人が観ても共感する部分が多いです。家族の話をするきっかけにカップルで観るのも良いのではないでしょうか。
特にティーンの皆さんは、芳根京子が演じるキャラクターと同世代なので、等身大の感覚で本作を観られると思います。反抗期真っ只中の人は、今は親の言うことを素直に聞けなくなっているかも知れませんが、本作を通して親の思いを知ると、少し気持ちが落ちつくでしょう。お互いに不器用でも、愛がいっぱいの親子がいることを本作で知ることができるので、親と意思の疎通がうまくいかなくて悩んでいたら、励ましとなると思います。
『今日も嫌がらせ弁当』
2019年6月28日より全国公開
ショウゲート
公式サイト
© 2019「今日も嫌がらせ弁当」製作委員会
TEXT by Myson