REVIEW
井上佐藤による漫画「10DANCE」を原作とする本作は、鈴木信也と杉木信也という1文字違いの名を持つ正反対の2人の天才ダンサーが主人公です。鈴木信也(竹内涼真)はラテン部門の日本チャンピオン、杉木信也(町田啓太)はスタンダード部門の日本チャンピオンかつ世界2位という実力を持っています。そんな2人が“10ダンス”という競技に挑みます。

“10ダンス”とは、ラテン5種とスタンダード5種の全10種目を1日で踊る競技ダンスです。セリフにも出てくる通り、勝ち抜くと4回戦×10曲で合計40曲を1日で踊ることになり、かなり過酷な競技といえます。杉木は鈴木ペアをこの10ダンスに誘い、お互いが得意の部門を教え合い、一緒に出場することを目指します。

でも、鈴木は杉木を気に食わない奴と思っていて、プライドの高い2人は最初ギクシャクしています。ただ、それぞれの部門を極めた才能とセンスに徐々に認め合うようになります。そして、2人の間に特別な感情が芽生えていきます。

原作はBL漫画に位置付けられているものの、個人的にはもっとさまざまな要素を孕んだ特別な関係に思えて、BLという“ジャンルもの”と捉えられて終わると少々もったいないなと感じます。本作の冒頭で引用されている「愛とは、二つの肉体に宿る一つの魂である」というアリストテレスの言葉から想像すると、杉木と鈴木は2人で1人のような関係であると同時に、別々の存在となった相容れない関係でもあるように思います。そんな関係が2人のやり取りに表れていて、もどかしいようでいて清々しく感じます。

そして、本作の見どころは何といってもダンスシーンです。竹内涼真、町田啓太、土居志央梨、石井杏奈が披露するダンスのレベルの高さに驚きます。竹内涼真はプロサッカー選手を目指すほどのスポーツマン、町田啓太はダンスを特技とし(劇団EXILE公式サイト)、石井杏奈はE-girlsとしても活躍するダンサー、土居志央梨はクラシックバレエ歴16年と、もともと身体能力が高く、ダンスの素養がある俳優をキャスティングしているとはいえ、日本チャンピオン、世界2位のダンサーという役柄を演じる上では並々ならぬ努力があったのだろうなと、ダンスシーンから伝わってきます。

また、ラテンダンスのエロティシズムを表現する上で、竹内涼真が肉体美を披露するシーンがふんだんにあります。彼の肉体美からも役作りにかけた気合いが感じられます。ストーリーはもちろんのこと、ダンスシーンも堪能できるので、ショーを観る感覚でもお楽しみください。
デート向き映画判定

熱い思いをぶつけ合うラブシーンも出てくるので、カップルで観ると気恥ずかしく思うかもしれません。一つのことに思いをかけるキャラクター達の姿も印象的なので、何かに打ち込んでいる方は1人でじっくり観ながら、自分のモチベーションを上げる機会にするのもアリでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

本作で描かれるのは、好きだから付き合う、というだけの愛ではないので、キッズやティーンの皆さんの目にどう映るのかは未知数です。感覚としてわかるという方もいれば、大人になってから観た時にわかるという方もいるかもしれません。一方、習い事やスポーツなど、既に競争社会にいる方にとっては、常に挑戦する立場として共感する部分があるのではないでしょうか。

『10DANCE』
2025年12月18日よりNetflixにて配信中
公式サイト
TEXT by Myson
「10DANCE」井上佐藤 著/講談社
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情報は2025年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

- イイ俳優セレクション/石井杏奈
- イイ俳優セレクション/竹内涼真
- イイ俳優セレクション/土居志央梨(後日UP)
- イイ俳優セレクション/前田旺志郎
- イイ俳優セレクション/町田啓太

























