REVIEW
ダーレン・アロノフスキー監督とオースティン・バトラーがタッグを組んだ本作は、アメリカの映画批評サイト“ロッテントマト”で100%“フレッシュ”の称号を獲得しています。

映画公式資料に目を通すと、各人の思い入れが伝わってきます。ダーレン・アロノフスキー監督は、本作の原作である同名小説を18年前に読み、「これほど面白くて血がたぎる思いをしたことはなかった。(中略)それから時が流れ、ある日、チャーリーが突然メールをくれた。原作権を取り戻し、脚本を書いた、と。」と述べています。18年前にアロノフスキー監督が興味を示した時に興奮したというチャーリー・ヒューストン(原作・脚本)にとっても念願が叶ったんですね。さらに主演のオースティン・バトラーも「人生で初めて出演したのは学生映画だった。そこで監督に“好きな監督は誰?”と聞かれて“ダーレン・アロノフスキー”と答えた。子どもの頃から、ダーレンと仕事をする、という思いが頭にあった。」と述べていて、長年の夢を叶えた作品というだけあって、作品からエネルギーがバンバン伝わってきます。

“コート・スティーリング”は野球用語で盗塁失敗を意味し、広義では「チャンスを掴もうとして失敗すること」を指します(映画公式資料)。なぜ、『コート・スティーリング』というタイトルがついているのかというと、本作の主人公がメジャーリーグのドラフト候補になるほど将来を有望視されていた野球選手だったからでしょう。そんな青年がなぜマフィアに追われることになるのか、気になりますよね。
バーテンダーとして働き、うだつの上がらない日々を送っていたハンク(オースティン・バトラー)は、ある日、隣人のラス(マット・スミス)から留守にする間、猫を預かるよう頼まれます。そして、ラスが不在中、柄の悪い男達がラスを探しにやってきて、ハンクも巻き込まれてしまいます。

ハンクがなぜ巻き込まれてしまうかは本編でご覧いただくとして、無関係に見えた点と点が徐々に繋がっていく展開にグングン引き込まれていきます。ハンクが肉体的なダメージを深く負わされたり、身近な人物に危害が及んだり、緊張感が高まるシーンがある一方で、猫ちゃんがホッコリさせてくれるシーンもあり、緩急が絶妙です。

優秀な元野球選手という設定もあるので、身のこなしにその設定が活かされていることが期待されるなか、オースティン・バトラーは全スタントを自分でこなしたそうです(映画公式資料)。鑑賞中、オースティン・バトラーが自分でスタントをやっているようで気になっていたところ、資料でこの事実を知り、改めて驚きました。こういう姿勢からも並々ならぬ俳優魂を感じます。

本作では、レジーナ・キング、ゾーイ・クラヴィッツ、マット・スミス、リーヴ・シュレイバー、ヴィンセント・ドノフリオなど他のキャストが演じるキャラクターも強烈で、ラストは主人公のぶっ飛んだ選択で幕を閉じます。ダーレン・アロノフスキー監督作の独特な世界観と、コミカルな展開が加わった新鮮味を味わってください。
デート向き映画判定

情熱的なラブシーンが1回出てくるので、初デートで観るには少々気まずいかもしれません。ただ、それよりもバイオレンスシーンのほうが強烈なので、普段観慣れていない方を誘うには不向きでしょう。一方で、緊張感もありつつ、クスッと笑える展開もあり、カップルが進展する上で大事なやり取りも観られるので、友達以上恋人未満から一歩進みたい2人なら、良い刺激を受けるシーンもありそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定

PG-12で大人が一緒なら観られるとはいえ、痛々しいシーンが複数出てくるので、せめて中学生になってから観るほうが良いと思います。将来有望な青年が、思わぬ不運で人生が狂ってしまい、とんでもない事態に巻き込まれつつ、人生の逆転ホームランを狙うストーリーなので、うまくいかないことがあって悶々としている時に観ると、荒療治的ではありつつ、ちょっと視野を広げるきっかけになり、スカッとさせてもらえるでしょう。

『コート・スティーリング』
2026年1月9日より全国公開
PG-12
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2026年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。


























